終章

運び屋『兎』

それから月日が流れ、二つの街の関係性は劇的に近づいていった。


流行病を利用して高価な薬で儲けていた商人達は、牢に繋がれており罪を償っている。

流行病に対して開発された新薬は、薬草の栽培と製薬方法が確立され、二つの街で共有された。

薬を通して、二つの街は友好度を深めて交流を深めていた。


二つの街の距離は物理的にも近くなっていた。

山が開かれ、山小屋を通って両方の街をつなぐ道が整備されたのである。


その名前は、ヒポロード。


両街の領主が資金と人手を出し合い、運び屋『兎』がカバと共に森を踏み荒らした跡を街道として整備した道である。

ヒポロードの途中にあった山小屋は崩され、宿泊施設と倉庫や替え馬などを提供する中継施設が作られた。

二つの街の商業的交流になくてはならない施設となっている。


両街の領主は定期的にこの施設で会合を行い、二つの街の平和とより一層の発展について話し合っている。


しかし、毎回が定期的な会合で話せるわけではない。

緊急のやりとりが必要な時には、ある運び屋が使われるようになっていた。


ある時はカバがけたたましく走っていく。

ある時は風のように巨大な白い狼が走っていく。


二つの街を拠点とする双子の運び屋は両街では知らぬ人がいない存在となっていた。




手紙、荷物、はたまた、何か。

届けたいモノがあるとき、どうするだろうか。


自分で届ける?

できるならそもそも悩まない。


誰かに任せる?

任せられる人が見つからない。


そんな時は商業ギルドの受付にいって、こう言ってみるといい。


「兎に荷物を届けてほしい」


安心、確実、お値段高め。

運び屋『兎』が届けたいモノを確実に届けてくれるはずだ。

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運び屋『兎』の配送履歴 花里 悠太 @hanasato-yuta

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