第67話
少し短いです。
*** *** ***
朝起きれば昨日の疲れもとれていた。
食事を摂り、街に出る。
目的?は特に無い。
強いて言うなら、初めての街なので色々と見て回るのが目的だろうか。
とりあえず向かったのは、宿屋で聞いてきた食料品を買える市場だった。
到着して感じたのは、何と言うか市場と言うより通りと広場に大量の露店が出ている感じだった。
特に今買う必要のある物は無いが、今後の旅に必要になるだろう食糧はチェックしておく方が良い。
だが人の多い所でアンバーと話ができないのも、ちょっと困るな。
『念話スキルを使用しますか?』
・・・そんなスキル持ってたっけ?
一応『はい』と答えると一瞬身体がビクッ!とした。
アンバーの声が頭の中に入ってきたからだ。
『何か良い匂いがする。あっちからも。あっ!こっちは甘い匂いがする・・・』
アンバーの食い気に、なんかほのぼのして笑いそう。
でも、この念話スキルが使えると便利なのは確かだ。
試しに『アンバー』と念話で話しかける。
アンバーはビクッ!としたかと思えば、毛を逆立てて周囲を警戒し威嚇し始めた。
「ウゥー、ウニャン!『気を付けろ、頭に声が入ってきた』」
失敗したな!
「アンバー、落ち着いて。あれは俺のスキルを試したんだ。突然やってゴメン」
そう謝りながら、アンバーの頭を撫でる。
「もう一回やるからな。あと、アンバーも同じように、頭の中で俺に話しかけてみてくれ」
「ウニャ!『わかった』」
そう前置きしてから、再度念話に挑戦してみた。
『アンバー聞こえてるか?』
『こうかな?聞こえる』
『成功だな。これからは人がいる所では、これで話そうな』
『わかった』
一つ問題が片付き、気分良く歩き始める。
通りの左右には露天が数多く店を開けており、雑貨から食糧、武器防具から酒まで販売していた。
その中に乾物を扱う露天があったのだが、そこは余り品質がよろしくなかった。
どう見てもカビが生えている干し肉や、砕けてボロボロの干し野菜、乾燥が足りない感じの干し果物。
どれも普通では売り物にならない品質の物ばかりだった。
その中に干しキノコがあったのだが、それを見たアンバーが疑問を投げ掛けてきた。
『あのキノコ変。エドガー作ったやつ、もっと綺麗で美味しそうだった』
それを聞いた俺の返事は『そりゃあ比べたらダメだな。俺はスキルを使って乾燥させてるから、自然乾燥とはできが違うよ』である。
何のスキルか?って、調薬スキルの上位、製薬スキルの素材乾燥ってのがあって、これが良いんだよ。
薬のための能力ってことで、素材の水分だけを上手く抜いて、含まれている効能や栄養なんかはそのままっていう凄く干しキノコを作るのに向いたスキルだったんだ。
『それはスキルの使い方として間違ってます。美味しいキノコのためのスキルではありません』
良いんだよ!俺が納得して満足してんだから!
って、何で【ストッカー】にダメ出しされてんだ?
そんな反応できたの?
『・・・、・・・』
今度は反応無しなのか、どういう基準でダメ出ししたんだろ?
まあ話がズレたけど、上手く乾燥したから、普通に水で戻して食べても味に変化は無いに等しい。
これがあるから、昨夜もアンバーを説得できたのだ。
それからも露店や店、商店などを見て回ったが、流石に流通の要所である。
品数は膨大で、それに比例するように品質もピンからキリまでありとあらゆる物が
俺は、その中で金額と品質が見合った物を確認できたので、今日の目的としては上々だった。
ただ美味い料理を出す店が、どこにあるか調べられなかったのが残念。
せっかく戦利品である資金が潤沢にあるのだから、少し贅沢したかったのだが。
そろそろ帰ろうかと歩いていると、ギルドの近くに戻ってきていた。
そこで目に付いたのは、ギルドの前が馬車で大渋滞している現場だった。
『えらく高級な馬車が大量にいるな。何があったんだろう?』
それが、俺の単純な感想だったが、そこであのキノコに思考がいかないのが俺なのだ。
後で気付いたが、あれはキノコを求めた富裕層に突撃を受けていたのだ。
ザーレには悪いが、マージンを取るんだから頑張ってくれ!
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