第37話
「ねえ、わたしは何をしたらいいの?」
姉も正直不安ではあった。自分が弟に何ができるのかわからない。
智樹は照れ臭そうに言った。
「手でしらもらってもいいかな?
姉は自分の手を胸の前で重ね合わせると、そのまま膝の上に置いた。彼女は弟の要求に応えるために、ただじっとしていた。
智樹の手が彼女の手に重なる。
その手を握ると、彼の方からも握り返してきた。そして、指の間に自分の指を差し入れてきた。まるで恋人同士がするように、しっかりと絡み合わせる。
彼はそれを何度か繰り返した後、今度は手の甲をさすってきた。
姉の手がピクッと震えた。
弟の手が姉の手を自分の股間に導く。ズボン越しでもそこが硬くなっていることがわかった。
彼女は思わず息を呑む。
(これが弟?)
彼女は改めて弟の体の大きさを感じた。
握った掌には硬い感触があった。それは彼女にとっても初めての体験であった。彼女は戸惑いながらも、弟を慰めるためにそこに手を添えた。
布地ごしに伝わってくる熱さに驚いた。彼が自分に欲情していることが感じられた。そのことが彼女を戸惑わせた。
彼女の鼓動は激しくなっていた。
心臓が高鳴っていた。
それは決して不快なものでなく、どこか陶酔感にも似た心地よさを感じさせた。
彼女が手を離すと、智樹もそれに合わせて手を引っ込めた。
智樹の顔を見ると、恥ずかしそうに顔を背けた。しかし、彼の股間は痛いほどに張り詰めていた。
姉弟はしばらくの間無言で見つめ合った。
「姉ちゃん、おねがい」
「うん」
弟は強い欲求にがんじがらめになっているようだ。そこから解放してやれるのはいま、自分しかいない。やってることはまったく倫理に反することだが、逆に道義的な使命感を姉は感じてもいた。
(これを鎮めてあげなければならない)
いまからすることが、快楽を与えるよりも苦しみを取り去ってやるための行為に姉には思えた。彼女は覚悟を決めると、ゆっくりと弟のベルトに手をかけた。
カチャリという金属音が部屋に響いた。
チャックを下ろす。
トランクスの前開きから硬く勃起したペニスが現れた。生々しい肉茎に彼女は一瞬怯んだ。ドクンドクンと脈打っているのが見えるようだった。
先端からは透明な液体が滲み出ており、それが照明を受けてテラテラ光っていた。
「うわあ……」
初めて見るそれに、姉は嫌悪感ではなく興奮を覚えた。
(これが弟なんだ)
そんな感情を抱く自分を嫌悪する気持ちもあった。しかし、それよりも強く湧き上がるものがあった。
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