第10話 2度目の祝福

 王都のドラグーン子爵邸に到着すると兄2人が待っていた。


「お父上、無事到着おめでとうございます」


 長兄のシャイニングが父上に到着の挨拶をしていた。


「僕も居るよ」

「今回はライトも王都へ来たのですね」


「ライトの事は後で話す」


「まずは長旅でお疲れと思いますので、夕食までゆっくりとお休みください」


「皆の者、これで一旦解散となるが数日後にはシャイニングが領地へ戻る予定なのでまた護衛をしてもらう事になる、今のうちに十分休むように」


王都の執事ガブリーに連れられて邸宅へ入って来た。


「ミラーお兄様、王都の屋敷は初めてなので判らないことが有ったらよろしくお願いします」


「学園へ入学前に王都へ来るなんて、何かあったの」


「教会の『祝福の宝珠』で再度祝福してもらう様です」


「そーなんだ、例の変わった称号の件かな」


「僕はあまりよく解らないのですが、師匠のドジャーが再祝福に関してお父上と相談なされ決められた事です」


「シャイニング、食事前に執務室へ来るように」


 お茶を置いた執事のガブリーが執務室から出て行ったので早速打ち合わせを行った。


「領地での仕事の説明をしておきたい、学園は休みに入ったのか」

「はい、補習等は有りませんので来月の上旬まで春休みになります」


「貴族の子息・令嬢の多くはお茶会や懇親会等へ出るため、しばらくは王都に居るみたいです」


「シャイニングには領地の仕事を私の居ない時に代行してもらう事になる、最初の派閥の会合へ出席してから領地へ帰ってもらう」


「昨年も休みの期間に帰ってきて、仕事を見せてもらったので心配はしていないがどうだ」


「大丈夫だと思います、精一杯がんばらせていただきます」


「後は結婚相手を決めて、私のようにガイダス町で領地経営の実務を勉強して、後を引き継いだら私は本格的に王城での仕事に入れるのだが良き相手は見つかったか?」


「まだはっきり決めた人は居ません」


「そうか母さんみたにはいかないか」


 学園に通わせているのは将来の人脈作りと結婚相手探しが多くの貴族の目的でもある。


 我が領のように王都から離れて尚且つ、『魔境の森』『大霊峰』が領地内にある危険な処へは嫁をもらうのも一苦労だ、シャイニングの母セイラみたいに最近は大人しくなったが魔物が好きで魔物との戦闘で魔法を使うのも好きなとどいう貴族の令嬢はそうそう居ない。


 本人は王国魔法騎士団へ入るつもりだったが私と結婚してくれた。


 魔物との戦闘が嫌いでも、田舎の子爵の所に嫁に来てくれるといいのだが、御令嬢方は都会の王都が近い貴族の所が良いに決まっている、シャイニング本人も努力しているようだがいい人は現れていないようだ。


「派閥の会合でだれかいい人を紹介して貰えるよう、ブタニア侯爵に相談させてもらうのが良いか」


「父上の良い様に進めてください」


「お前の称号の『司令官』も大勢のものを纏めて指揮し慕われる良い称号なのだがな、女性には効き目がないのだろうか」


「父上、称号はあまり関係ないと思います」


「領地での仕事の話に戻るが、細かい内容は執事のガブリアスに資料を渡してあるので聞いてほしい」


「魔物がいつもより増加しているなどの情報が有ったら、クルックルバード便で知らせてくれ」


「魔物が増えているのですか」


「ここに来るまでの道中、いつもより多くの魔物の襲撃があった」


「領地へ帰りましたら、冒険者ギルドでも注意するように連絡しておきます」



 シャイニングとの打ち合わせは予定どおり終わり、王都教会に『祝福の宝珠』を使用させてもらいに来た。


「ライト、前回と同じように一人で部屋に入り、お祈りし『祝福の宝珠』に触って終わりだ、今回は教会に個室を借りているので個室でステータスの確認をする」


「後は王城に出す書類を作って我々は家に帰り、執事のガブリーに書類を王城へ提出しに行ってもらうという予定だ」


「ではライトよ『祝福の間』へ行ってこい」


 『祝福の間』に入ると領都の教会と同じで真ん中の台の上に領都の教会より大きな『祝福の宝珠』があった。

 2回目なので前回と同じように祈ってと思ったがもう称号もスキルも解っているのになにをお祈りしょうかか迷い、「強くなれますように」って祈ってから『祝福の宝珠』に触った。

 またピカーと光り輝いたが2回目なので落ち着いて光が収まるのを待って『祝福の間』を出た。


「ライト中で何かあったのか」

「何もありません、またピカーって光ったから光が収まるのを待って出て来ました」

「それだけか?」

「それだけです」


 前回と同じような事を聞かれたがなぜ何んだろう。


「教会の個室へ行ってステータスの確認をしましょう」と師匠のドジャーに言われ個室へ移って行った。


「ライト、ステータスを開いて細かく説明してくれ」


「ステータス・オープン」

ステータスを開くと

スタータスLv.5

名前  ライト・ドラグーン子爵 四男

称号  白き者

     白き神の使徒 

Lv 12

HP 24

DMP 11

HMP 10

スキル 聖なる剣Lv.1

     剣で自分より弱い相手に攻撃すると致命傷になる。

    聖なる盾Lv.1 

     盾で自分より弱い相手の攻撃をほぼ無効化する。


 ステータスを確認した、ホワイト子爵とドジャーはため息とともに今後どの様にするか協議するため、一旦屋敷に帰ることとなった。


「王城への報告は屋敷で打ち合わせしてからする事とする」とホワイト子爵が宣言し帰宅する事となった。


「お父上、『白き神の使徒』ってなに?」

「ライト、帰ってから話すのでステータスの事は家に帰るまで一言も話すな」


急いで家に帰って来た一行は

「ドジャー、『白き神の使徒』って聞いたことは有るか」

「私は聞いた事が有りません、過去に『勇者』の称号が現れた時には説明は『ガイア神の使徒」だったと思います」


「魔王討伐時の魔王は称号は『魔王』で説明は『暗黒神の使徒』だと言われています」


「他の『神の使徒』は正式には今まで公になった記憶はありません」


「王城には秘密の資料には有るかもしれないな」


「大事になるかも知れない、王城へ書類でステータスを報告する前に、ブタニア侯爵に一度相談し王様へ説明してもらってから、扱いをどおするか決めないと単に紙で報告は駄目だろう」


「ガブリー、ブタニア侯爵へ手紙を書くので届けてくれ、詳しは会った時に話すと伝えてくれ」


「ブタニア侯爵へは息子の称号・スキルについて緊急に相談したい事があるので急遽面会をお願いしたいという内容で良いだろう」


「ライトの称号については知っている者もいるが、今後は他言無用とし秘密とする」


「ライト、今後ステータスの事はシャイニング達に聞かれても答えたらだめだからな」


「はい、わかりました」


「ライトは当分外出禁止、敷地から出ないように」


「あと、ドジャーにはライトを見張っていてほしいが頼めるか」


「わかりました、ライト様と一緒に居ればいいのですね」


 王都へ来たけどどこへも出かけられないの?お父上達が方針を決めたら遊びに行けるよね、まだ甘い物食べてないよ。


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