第9話 王都ってこんな所

 王都は大きくて良くわからないぐらい広い、王城の周りには立派な聳え立つ城壁があるがそれ以外は高さ3m程度の王都外壁と言われているものしかない。


 王都周辺では運河の反対側にある「魔の森」に近づかなければ魔物は出て来ない、定期的に魔物を駆除していれば魔物が森から出てくる事はほぼ無いので、低い外壁で十分との認識である。


 王都周辺の「魔の森」も完全に無くすと安全になると思われて徹底的に魔物の駆除、森の伐採がなされて「魔の森」を無くしたことがあった。


 一夜で近くに別の「魔の森」が出来たり、元々あった「魔の森」が大きくなり、高ランクの魔物が出現したりして、「魔の森」のコントロールも消滅も出来なかった。


 今は「魔の森」を比較的低ランク魔物しか出現しない大きさに維持する方向で魔物数を調整されている。


 新兵士・新騎士たちがレベル上げの訓練を兼ねて王都周辺の魔物討伐をしている。


 兵士・騎士も強くなると王都周辺ではレベルが上がりずらくなるので『魔境の森』に接している貴族領や直轄領での魔物討伐派遣が毎年一定期間行われる、王都側の王国直轄領より大霊峰に近いドラグーン子爵領の方が高ランクの魔物が多いため、定期的に騎士団の派遣がある。


 王都へ入るために西門へ到着した一行は検問のため一度は止められたが貴族優先のため、早く入ることが出来た。


「検問ってこんなに簡単に終わりなの」


「我々は貴族なので身元もハッキリしている、王都の外壁が低いので質の悪い者たちは別の所から出入りしていて、こちらに来ないから今のような簡単な検査になったらしいぞ」


「外壁にも警備の者はいるが夜間だと高レベルの者には高さ三m程度は壁にならない、我々貴族は出入り記録が残るので正式に王都へ今来ましたという挨拶みたいなものだな」


「過去に正式に王都へ入らずに死亡した貴族は本人と認められず、相続が色々揉めたと聞いたことがある」


「《鑑定》があっても認められなかったのですか?」


「当然死体は《鑑定》されたが結果は公表はされなかったらしい」


「その死亡した貴族には色々問題あったから本人行方不明として時間を稼ぎたかった人達が圧力をかけたという話もある」


「正式に王都へ入らなかった人なので、後ろ暗い事もあるのだろうし」


「正式に入らないと暗殺されても行方不明扱いとか厳しい扱いですね」


「暗躍しょうとして静粛されたとか色々うわさはあるが、貴族社会は魑魅魍魎の集まりだから罠にかかったのか処分されたのか」


 王都の子爵家の屋敷へ向かって街中を進んで行く。


「王都ってお店がいっぱいですね」


「子爵領都よりは多いのは当たり前だが、特に服装関係・貴金属関係・本屋関係・飲食関係は確実に多い」


「しかし、我が子爵領の方が凄腕の武器職人は多いかもしれない」


「王都の武器屋に子爵領で作られた武器が、高額で売られているのを見たことがある」


「子爵領の方が武具・武器作成のレベルが上げやすいからでしょう」


「高レベルの武器や武具は高レベルの魔物・聖獣・希少金属で作られます、それが取れる子爵領は職人にとって天国のようなものです、国中でも我が領とロッソニア辺境拍領位でしょう」


「そんな事より、王都で美味しそうな物って何」

「???」

「えー、男ばかりだとこんな質問変なのかなー」

「そんな事より、子爵領の武器・防具が如何に優秀であるのか判ったか」


 父上達も王都の舞踏会とか行くんだから美味しい物も食べているはずなのに、教えてくれないって。


 屋敷へ行ったらお兄様に聞いてみよう、少しはお茶会や舞踏会・食事会へ行く楽しみを見つけないと。


「王都の教会ってどこにあるの」


「ガイア教の王都主教会は王城の横にある、貴族街と平民街の間で王城の城壁の外側に接している」


「明日は教会へ行って、その結果を王城へ報告だな」


「王城へ報告って、僕が王城へ行くの?」


「報告はライトの称号とスキルを書面で報告をして、称号がいままで登録された事のある称号か調べてもらい、危険が無いかの判断をお願いすることになる」


「危険となったらどうなるの?」


「危険となったら王城敷地内へ入るのは普通より時間の掛かる手続きが必要になる」


「過去に称号やスキルの登録が無く効果が不明となってもある程度称号やスキルの効果が安全と判明するまでは同じ手続きになる」


「危険な称号には危険なスキルが付き物なのでライトのスキルには「聖なる」が付いているので危険である可能性は低いと思っている、しっかり手続きをしないでどこでも行くと厳罰に処されることもある」


「わかりました、王城内は絶対誰かと一緒にいます」


「王城へ行くことは今回無いと思うが覚えておくように」


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