第20話 美鈴と委員長
「もが……むにむに、ふにふに……!?」
「ハァハァ……んっ。ねえ、柚希このままサボっちゃわない? 美鈴と柚希で、んっ、授業サボってイケないこと、しちゃわない?」
「むちむち、ふわふわ……!?」
俺をふとももとふとももでぎゅー、っとホールドした美鈴が、荒い息を必死に抑えながら、俺にそう囁く。
イケないことしよって、このままサボってそう言う事しよう、って……!?
「もがっ、むちむち……み、美鈴!? そ、それはダメだよ、それはダメ!」
いや、ふともも挟まれて気持ちいい! 最高にハッピーな気分だぜ! なんて思ってる人間が言うセリフじゃないけどさ! 本当に美鈴のふとももはニーソの滑らかさとムチムチ感で最高のハーモニーを醸し出してる……そんな事考えている奴が言っていいセリフじゃないけど!
でもサボるのはまずいよ、美鈴的にも! ていうか俺は良いけど美鈴的に特にまずいでしょ、サボるのは!
「え、なんで……だって柚希の息こんなに熱いよ、こんなに興奮してるよ……美鈴のスク水姿見て、美鈴のふとももに挟まれて興奮してるんでしょ、柚希……だったらいいよね、このまま? このまま、美鈴と……んんっ、んっ……ハァハァ、柚希柚希……んんっ」
段々美鈴の息が荒くなってきて、俺を挟んでいるふとももが熱量を増していく。
温かくて、ほわほわの体温が俺に伝わってきて、それで俺は……って違う違う! また美鈴が変なモードに入ってる、また吊り橋ってるよ、美鈴!!!
「吊り橋じゃない……本気だよ。本気で、私、今柚希と……んんっ、あっ……やばっ、柚希息熱すぎるって……んんっ、気持ちよくて、私……ハァハァ、柚希、柚希……んんっ」
「み、美鈴……美鈴……ごくっ」
ぶるっと震えた美鈴の鼠径部の部分が、じんわりと温かくなっていき、徐々にそこの部分だけ色が濃くなる。
これってもしかして……いや、もしかしなくても、そう言う……ちょ、美鈴マジ? マジなの美鈴……ごくっ。
「うん、マジだよ……美鈴はずっとマジだよ。柚希だけの美鈴だもん、美鈴はずーっと、柚希を待ってるの……ねえ、舐めて柚希」
「……え!?」
「舐めたいんでしょ、柚希も……この前もだけど、今も舌伸びてる。柚希の長くて、えっちで気持ちよさそうな舌、私のそこ舐めたいって伸びてるよ……舐めたいんでしょ、柚希? 良いよ、柚希なら……美鈴は柚希専用の、美鈴だから。だから良いよ、柚希……舐めて、柚希」
「……ごくっ」
……やばいなぁ、こんな事言われたら止まれないよ。
何とか理性で保ってたけど、こんな事言われたら……で、でもこれで俺がやってしまったら……でも据え膳食わぬは男の恥というか……って違う、今はそう言う話じゃない! 今は美鈴だ、美鈴の話だ!!!
この前聞いただろ、あの話……だから今はダメだ!
「ねえ、柚希早く。早くして、柚希。私のあそこ、熱くなって止まんないの、いっぱい疼いて止まらないの……お願い、柚希、私の……え、柚希!? 柚希!?」
「ごくっ、んんっ……んあっ、美鈴……み、美鈴! ダメだって、それ……よいしょ! ダメ、美鈴! 学校はダメ、この前決めたでしょ……ふ~ふ~……ちょっと残念、あの感覚……んにゅにゅ! とにかく! 学校では委員長、そう決めたよね、美鈴!!! 委員長じゃないとダメ、って言ったのは美鈴だよね!!!」
名残惜しいけど、美鈴のふとももホールドからするする抜け出して、ちょっとまだむにゅむにゅの感覚が残って寂しい後頭部に気合を入れて、美鈴をそう指さす。
その俺の声が聞こえていないのか、興奮した様子の美鈴は湿ったスク水の端っこをぎゅー、っと抑えながら、
「何で、なんでそんな事言うの……ダメじゃないって、柚希。私は、柚希の美鈴なんだよ、柚希だけの美鈴なんだよ……だから柚希がしたいようにしてよ、柚希舐めたいでしょ、したいでしょ、私と? 私とそう言う事したくて、それで……そうなんでしょ、柚希? 美鈴としたいよね、柚希は?」
「いやまあ、そうだけど……ってそうだけどそうじゃないの! いや、確かに俺はしたいよ、そう言う事めっちゃしたい! 美鈴とそう言う事、したいと思ってる!」
「じゃ、じゃあいいじゃん……柚希がしたいなら、美鈴は大歓迎だよ。柚希が良いなら、美鈴も……」
「そうだけど、今回は美鈴がダメでしょ! だって、美鈴は学校では『委員長』なんだから、美鈴は委員長なんだから! だからその……授業サボるとかダメでしょ! そう言うのしない、ってこの前約束したじゃん!」
土曜日に約束した俺と美鈴は学校では「手塚君」と「委員長」の条約―もうほとんど失われてるけど、それの効力はまだ残ってるはずだ。
あれ、呼び名だけじゃなくてちゃんとそう言う意味も含んでた……委員長は、学校では真面目にするって。学校では、真面目で、最高の委員長だって。
「美鈴」になるのは俺の前だけだって―そう言う意味を含んでいた。
「ハァハァ……今、柚希の前だよ、今美鈴と柚希しかいないよ……だったら、もうよくない? 美鈴と柚希だけなんだから、今はそう言うの関係なしに、美鈴と柚希で……だから、美鈴、柚希の……」
「……怒られるよ、お父さんに。美鈴が授業サボったってバレたら、お父さんに怒られるよ、美鈴。お父さんの期待裏切って、怒られるんじゃないかな?」
「え、お父さん……あ、あ、あ……あぁ……あぁあぁああ……ああ……!!!」
刹那、美鈴の顔から興奮の赤が消えて、一気に青白い顔色に変わる。
そして何かを察した様にあわあわ慌てだして……言いたくなかったけど、やっぱり効果抜群だな、これ。
―美鈴はなぜか自分のお父さんの事を異様に恐れている。俺と話している時に、名前を出すときは必ず少し表情が強張ってたし、それに……あ、これは言っちゃダメか。
とにかく美鈴はお父さんの事を恐れていて、そのお父さんの期待に応えないと、と妙に気張っている……だから、その名前を使えば元に戻ってくれると思った。
今のつり橋でグラグラになっている美鈴から、いつもの、学校モードの「委員長」に……俺の欲求は犠牲になるけど、それはまあいい!
美鈴のスク水は目に焼き付けたし、その他にもいっぱい資料はある、おかずはある……だから絶対困らないし!
良いんだよ、それに俺だって出席ヤバいし! 1学期姉ちゃんの看病とか朱里とサボってゲーセン行ったりしてたからなんかめっちゃ怒られたし! それはそれは死ぬんじゃないか、ってくらい怒られたし!
だから俺も授業出たいしね、決してチキンハートが発病したわけじゃないです、はい!!! 一応美鈴と、俺に両方メリットがあるのが断ることだったから!!!
したかったけど、しょうがない! ね、ね!!! 決してチキったとか、そう言うのじゃないからね、勘違いしないでしょね!!!
「うっ、お父さん、ごめんなさい……ごめんなさい、お父さん、悪い私でごめんなさい、何もできない私でごめんなさい……だからお家……ハァハァ、お父さん……今すぐ、教室戻ります! 教室戻ります!!!」
そんなあほな事を考えている近くで、美鈴はトラウマを思い出したように何度も謝りながら、急いで制服を身につけていく。
その姿は必死で、見ているこっちも心配になって……だ、大丈夫? 大丈夫、美鈴?
「大丈夫、大丈夫だよ手塚君。私は大丈夫、大丈夫……私は委員長、悪くない、悪くない……まだ大丈夫、お父さんは許してくれる、これくらいは大丈夫、お父さんは許してくれる、お父さんはお父さんは……」
「え、美鈴……ほ、本当に大丈夫? そのえっと……ごめん、俺のせいで。ちょっと、そんなやばいとは思ってなかった……大丈夫か、美鈴? えっと、俺が出来る事なら何でもするけど」
「大丈夫、大丈夫、私は大丈夫……うん、大丈夫。私は大丈夫だから、全然大丈夫だから、お父さんもこんな事で私をまた捨てたりはしない……大丈夫、大丈夫! 行きましょ、手塚君! 私に作戦があるから、遅刻の言い訳は大丈夫! だから私について来て、よろしく手塚君。あなたに出来ることは、私についてくる事」
「お、おう……だ、大丈夫なのか、本当に?」
「だから大丈夫って言ってる。私は大丈夫、こんなんでお父さんに……大丈夫、大丈夫。行きましょ、手塚君。大丈夫、大丈夫だから」
「……えぇ?」
大丈夫と何度も連呼し、真っ青な委員長声と顔で、俺の先をずんずん歩く美鈴を。
さっきまでの明るくてえっちな表情とは真逆の、冷たい表情に戻った美鈴の後ろを、俺は心配しながら歩いて行った……なんかあるのかな、美鈴? お父さんと、何かあったのかな?
「手塚君、早く。はやく、ついて来て」
「う、うん……はい、美鈴」
「委員長……あなたに名前で呼ばれるのはダメ。手塚君、ちゃんと委員長って呼んで」
「あ、ごめん……ごめん、みす……委員長」
……怖いな、ちょっと
感じるのは恐怖だ、何があったんだ、美鈴に……ま、まあとにかく。
「……手塚君?」
「ううん、何でもない……何でもないよ」
とにかく、これから美鈴の前でお父さんの名前を出すのはやめよう。
絶対にその名前は出さない―そう決めたのであった。
★★★
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