第53話 砂の国

氷蓮妙蘭鬼夜叉白姫。

 それは、その鬼が中心に半径5メートルに雪を降らす。ガルドーザは鬼夜叉姫がどう動くのかと伺う。だが、相手から動く気配がしない。


「(どう言う事だ?やはりおかしい。レイジーの奴気絶しているのに、何故守護半神が出ている?アレは術者が操る事で現れる戦士としての最強の極み。だが、レイジーは気絶しているのに、アレを出せているのは、もしや自動で動くのか?少し見てみよう)」


 ガルドーザは、出方を見る為に鬼夜叉姫の間合いを詰めて攻撃のモーションに入る。すると、全身が凍る。雪の結界で凍ったは初めて鬼夜叉姫は動いて太刀を抜いた。


「助太刀必要か?」


 すると深くフードを被っている大きな男は、鬼夜叉姫太刀を全長2メートル以上もある大斧で止める。


「ガイア。汝の助太刀は不要だ。今はこの戦士と本気でやり合いたい」


「炎龍!!」


 すると目の前に龍の炎が飛んできて、ガルドーザはバックステップで距離を取る。リンとフウカは倒れているレイヤの前に立って守る。


「(アレは自動的に動くとは言え、敵味方を判別出来るのか。いや、試してみるか)」


ガルドーザは、速いスピードで2人の後ろに周り、レイヤを貫こうとする。だが、寸止めで止めるのであった。


「(なるほど。敵味方ではなく、レイジーに危害を加える者なのか?)」


そして、その腕はレイヤに一直線で動いた。

 すると、ガルドーザにも見えないぐらいの速さで太刀を抜いて、腕を斬り飛ばされてしまう。


「(なるほど。殺意を込めなくても、レイジーに危害を加える攻撃には反応をするのか。なんて厄介な守護半神だ。今の能力的に、スピード、パワー、性能だけを見たのならAもしくはSと同等なモノとみた)」


ガンドーザが勝手に考えた守護半神のランク付けをする。

 そして、ガルドーザは飛んだ腕を広い斬られた腕にくっつける。


「さて、調べは終わった。それで、汝達はどうする?このまま我とやり合うか?いや、汝達の主人に手を出したのは我の方が、それは謝らせてもらう。すまなかった」


「一体、あれは何?レイヤに何をした?」


「レイヤ?あー、レイジーの事か?我は何もしておらん。あの男がやったんだ、大丈夫だ時期にあれは消える。心配さんな」


「...」


「リンさん。この人の事は信じましょう。この人は悪い人ではありません。レイヤさんが暴走しかけたのを止めたんじゃないですか。今はクロエさん事を優先しましょう。先にレイヤさんの怪我を...先ほど剣を持っていた人に薬を渡されました。毒がないかは、信じましょう。レイヤさんはどんな毒を無効化にしてしまう体質だと言ってました」


「黒髪の姉さん。その薬は無駄だ。飲ますだけで無駄になるぞ」


 少し体力が回復したタラタキはフラフラの状態で立ち上がる。


「もしかしてこの薬は偽物なんですか?」


「いや、それは知らねぇ。だが、レイヤには毒が効かないって言ってたよな?その逆も効かない体質なんだよ。全ての薬品に対しての完全耐性なんだよ」


それを聞いたリンとフウカは絶望な顔をする。

だが、タラタキは安心しろおニッコリと笑う。


「まぁ、安心しろ。そいつの回復はえげつねぇ。その傷なら1日あれば動けるぐらいにはなる。そいつは心臓を潰されようが、首を落とされる以外の事なら、大抵の事なら死なない...だって、身体半分えぐられようが、こうして生きていたんだ。本当図太い奴だよ」


 そして大会の警備員達が、やっと駆けつけてきた。あまりにも遅さに、フウカは買収され何が起ころうが見て見ぬふりをすると予想するが、後に予想は的中していたと分かった。レイヤは回復させる為に宿でベットの上で寝かせるのだった。


「あ!れ、レイヤ君!お、おはうよございます!」


目を覚めると、そこにはシャーロットがいた。

シャーロットはオドオドとペコリと頭を下げる。


「...シャロ、クロエは?」


「く、クロエちゃんは、その、あの、そのままどこか行ったってき、聞いた...」


「そうか。やっぱり夢じゃねぇのか」


レイヤはクロエを止められなかったことに悔しそうに拳を握る。


「レイヤ、怪我は大丈夫?」


 いつも笑顔なリンが不機嫌そうな顔を浮かべて、部屋の隅に座っている。その横で同じ何も出来なかった自分に悔しそうな表情を浮かべる。


「他の奴らはどうしてる?」


「タラタキさんは、今治療中です」


「クロエはどこにいるのか?知ってるのか?」


「はい。砂の魔導師と剣士は魔導師として有名な少尉と中尉。その2人が従っているデザートラベル帝国の国王らしいです。どうやら、クロエさんはその人との婚約者だと言う事が分かりました」


「そうか。だから、姫とか呼ばれてたのか。それは結婚はクロエの意志か?」


「多分...」


フウカは首を縦に振る。


「そうか」


「もし、クロエさんを連れ戻すのなら国一つ敵に回す事になります」


「なら、や 俺らが取る選択は...」


「あ、あのー!」


するとシャーロットが会話に割り込んで入ってくる。


「わ、わ、私クロエちゃんとまた会いたい...です。せ、せっかくお友達になれたのに...離れ離れになるのはい、嫌だ、です。3人も比べれば私なんかクロエちゃんとの関係は浅いですが...望まれてない未来で幸せになんかなれない。私は友達が不幸になるなんて絶対に嫌!...です...も、もう一度クロエちゃんに会いたい」


「そうだな。クロエに会いたい気持ちは俺達も同じだ。望まれてない未来なんぞクロエは心から笑っていねぇ。でも、相手は国...どうする、リン?」


「...シャルはクロエに会いたい?」


「う、うん!」


「そう...国って、何百人もいるんでしょ?」


「そうですね。確か砂の国デザートラベル帝国は軍力は数万もいる大国です」


「なら、シャルも戦ってくれる?」


「ふぇ?!ち、力になれないと思いますが、た、戦う努力はし、します!」


「なら、4対数万って事か...レイヤ、勝ち目は?」


「正直言って体力切れで負けるかもな...でも」


「うん」


「「そんなの関係ねぇ!!」」


例え相手が数万人居ようが、2人にとってどうでも良い話だった。


「あのバカが本当にやりたい事を吐かせるぞ」


「うん。クロエは泣いていた。なら、助けるのが大将の役目...アタシ達がやる事は!!」


リン、レイヤ、フウカは同時に宣言した。


「「「クロエ[さん]を連れ返す[返します]!」」」


「わ、私もクロエちゃんをつ、つ、連れて帰らせる!」


相手が数万いようが、レイヤ達の覚悟は折れる事はなかった。

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