伝説の怪物達が君臨する!
第51話 現れる砂の男
「「「レイヤ[さん]!!」」」
倒れるレイヤにリン、フウカ、クロエは駆け寄る。
「クロエ、約束通り勝ったぞ」
「うん...すごかった。ありがとう、レイヤ」
「賞金を受け取ったら、次はクロエの事をやろう。痛てて、本当容赦ないな...顔面ばっかり狙いやがって」
「そのモテる顔がムカつくんだよ。クソ鈍感野郎が」
「な、なんなんだよ」
タラタキはぐちぐちと羨ましそうに呟くのだった。
クロエはレイヤを支えながら立たせる。
「タラタキ、どうだ?俺はまだ俺の夢を実行しようと旅をしている。また、一緒に来るか?」
「天朧と変わらねぇな」
「まぁな。それで、もう一度俺と旅をしないか?お前の船の操縦の腕の技術が欲しい!」
「興味ねぇ...いや、お前が夢を叶える瞬間を見たいが、お前との旅はもう良いや。今のお前と共に居ても、俺は邪魔者にすぎねぇ」
「邪魔ではないと思うぞ?お前天朧の中では1番しっかりしてたじゃねぇか」
「...いや、やっぱり嫌だ」
何が嫌なのかは分からないが、レイヤの周りにいるリン達を見渡すと、一緒に旅をしたくないと思った。
「まぁ、嫌ならしょうがねぇ...あ?!てか、それより、タラタキ!お前、俺の銃を返せ!あれ俺専用に作らせた呪いの魔銃なんだよ!大金を使ってまで手に入れたかった銃なんだ!返して欲しい!」
昔、レイヤがデザインが気に入った事に何千万もする特殊な能力を持った銃を買って、それに体内に埋め込む系の呪具を合わせた。その銃を昔レイヤが集めた天朧としての最後の戦いで、タラタキに預けていたのだ。
「...あー、あれ今俺持ってねぇぞ」
「ホクトの奴が持ってるのか?!」
「いや、サクヤが持ってる」
「はぁ?!アイツ、銃なんて扱えねぇだろ?なんで、サクヤが持ってるんだ?」
「...さぁな。見た目が良いから持ってきたんじゃね?お前と同じ理由で」
「ええー、まぁ今度会う時に返させてもらう。アイツもまた仲間に誘いたいからな。アイツの医療技術は俺の知る中で相当の腕前だ。でも、なんで銃なんて?」
「(そりゃ、お前が唯一残した物だからな。サクヤはホクトと同じぐらいお前の事を大切に思っている。まぁホクトとは意味合いが違うがな...だから、少しでもサクヤの悲しみを和らげさせる為に、唯一残した形見をサクヤに預けたんだ)」
「ねぇ、レイヤ。そのサクヤって人はどんな人なの?」
レイヤが仲間に入れたいと言ったサクヤの事が気になるリンは、聞いたのだった。
「うーん、簡単に言うと医者なんだが。切り落とされた腕を、ぐちゃぐゃちになっていないのと、腐敗していない限りくっつけさせるぐらいの腕前を持つ女だよ」
「「「女??」」」
「女だぞ?そこ重要か?」
「おい、そこの3人よ。もし、その男を自分のモノにしたいのなら、すぐに行動に移すべきだな。今のサクヤと再会したら、多分...いや、想像したくもねぇな」
「「「...」」」
「なんの話してるんだ?」
4人の会話についていけてないレイヤは首を傾げるのだった。そしてレイヤはポンっとクロエの頭の上に手を置いた。
「まぁ、優勝は優勝だ。クロエの目的の場所に行こう。必要額は揃ったんだろ?」
「...うん。れ、レイヤ、リン、フウカ。今夜宿に帰ったらボクの目的を話すよ。もうすぐ、ボク達は自由になれる。正式にリンの仲間になって旅が出来る。これも全て3人のおかげ。改めて、ありがとうね」
「おう!まぁ、後でゆっくり話そうや。今は休みたいし」
「え?...っ?!レイヤ!!危ない!!」
リンは危険察知が反応したのか、レイヤに伝えようとした。だが、少し気づくのに遅かった。闘技場の砂が、刃となり無数の刃はレイヤの体を貫くのだった。
「何油を売っているんだ?クロエ」
「...この砂はお前の魔法だな?サガぁ!!」
レイヤの背後に小さな砂の竜巻が起きる。
そこに現れたのは、右側が黒色で左側が白色のツートンカラー、そして顔半分には満面な笑みで剥き出しの歯のようなマスク姿のサガと呼ばれる男。
「さぁ、遊びは終わりだ。早く国に戻るぞ。マクラ様のお待ちだ」
「黙れ!約束通り金を集めると言った!まだ期限は過ぎてない!」
「はて?なんの話だ?」
「惚けるな!!ボク達は自由にさせるって約束しただろ!レイヤに手を出す事は1番許さない!!殺す!」
「お前が、俺を殺せるのか?随分と舐められたモノだな」
だが、先に動いたのはリンだった。
リンは相手を殺すかよう睨みで背後から回り込み斬りつけようとする。だが、リンの剣は確かにサガの体に触れたが剣がサガの体をすり抜ける。
「リン、そいつに打撃は効かない!魔法で、叩きつけて!」
「分かった!炎龍!!」
リンは剣に龍の頭を形をした炎を纏わせる。
「火使いか?まぁ、そのスピードじゃ当たらない」
サガの全身が砂になり姿が消える。
そしてリン達の周りに2つの砂の塊が出来る。
そこに現れたのはパンダの頭の着ぐるみを着たムキムキな大男と、大会から消えたシラヌだった。
「パンダ、シラヌ。仕事の時間だ」
「...」
「ああ」
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