第39話 バトルロワイヤル

 大会翌日となり会場に向かった。開会式やら何人か喋っていたが。その中にこの島の王様も挨拶していたがレイジーこと、レイヤはほとんど聞いてなかった。そして司会者は前に立つ。


「今年の参加者は例年と比べて少ないですが、それでもその数ざっと200人!その200人から16人の拳闘士まで勝ち残って下さい!そして、最後はトーナメント戦で最後の1人まで勝ち取り、そいつが拳王!!」


「「「「「「「「うおおおおおお!!!!」」」」」」」」


会場中大盛り上がりだった。

 ナビルの言う通り、人数が多い事から各50人ずつ4つのグループに分かれて4人まで勝ち残るバトルロワイヤルを開始する。


「レイヤー!頑張れ!」


「レイヤ、応援してる...」


 観客席でレイヤを応援する、リン、クロエが座っていた。だが、1人足りないとレイヤは周りをキョロキョロと見渡す。


...あれ?フウカがいねぇな?トイレか?


「ちょっと、今失礼な事考えました?」


「へ?ふ、フウカ?な、なんで居るの?俺なんか忘れ物でもあったか?」


 何故かコロシアムの闘技場に立っていたフウカに驚く。


「レイヤさん、言いましたよね?1人より2人、なら2人より3人の方が確実じゃないですか」


「お前もしかして参加したのか?」


「はい!そもそも私は魔導師の中で拳闘士とし鍛えていましたから」


「なら、今から俺達はライバルって事だな。もし当たった時は全力だな」


「あはは、レイヤさんと全力は難しいですが。まぁ、お互い頑張りましょう!」


お互い拳を合わせるのであった。

 そして、大会は始まりタラタキと2メートル以上もある坊主の男、トルカがいるAチームのバトルロワイヤルが始まる。


「面倒せぇ。なんで、俺がこんな試合に出なくちゃいけねぇんだよ」


「おい!トルカ!!優勝してテメェの借金を払え馬鹿者が!」


「ウルセェ、クソオヤジだな」


トルカに向かって叫ぶ老人がいた。


「お前があのトルカか?」


「あ?お前は誰だ?」


「私はモル。岩石拳流の使い手で、この栄光ある大会に出場した拳闘士だ。武を極める拳闘士にとってこの大会は聖なる場。去年、あのような振る舞いを行ったお前が、この聖なる場を汚すのが許せない。このモルがお前を「おい、話は終わったか?」


トルカは退屈そうに耳の穴に指でかきながら、あくびをしていた。自分の話をまともに聞いていないトルカに対してモルは怒りが込み上がる。


「ゆるさん!私がお前をこの神聖なる場から引き摺り下ろしてやる」


モルはトルカの腹に目掛けて本気の打撃を打ち込んだ。


「...」


「これを受けて立った者はいない」


「ふぁ〜あ?殴ってたのか?あまりにも優しすぎるパンチに気づけなかったぞ」


「なっ?!」


なんも効いていないトルカにモルは驚く。


「教えてやるよ。パンチってのはこうやって打つんだよ」


「ガハッ!」


トルカは拳を握り、モルを地面に向かって殴り飛ばした。


「この大会を優勝して、はやく借金を返さないとな」


 そしてタラタキの方はジッと闘技場のど真ん中で突っ立っていた。


「おいおい!元チャンピオン!そこでジッとしてて何してんだよ!もしかしてみんなが戦ってる隙に自分だけ隠れて4人まで生き残る魂胆か?これが元チャンピオンのやり方か?!」


「隠れる?こんなど真ん中で隠れるアホがどこに居る?少し考えれば分かる事だろ?俺は向かってくる奴だけど相手するだけだ」


「そうか。なら、この俺様が元チャンピオンを倒してやる!」


スキンヘッドの男はタラタキの身体に向かってパンチを放つ。だが、強靭的に鍛えられたタラタキに痛みさえ感じさせなかった。それを見ていたレイヤは感心する。


そういや、あいつ2年前より一回り...いや、二回りほど太くなってねぇか?」


「俺はデルグの意思を継いだ男だ!俺の全てを貫く拳の槍、デルグの全てを防ぐ筋肉の盾、俺達ゃ2人合わせれば最強なんだよ!」


タラタキはスキンヘッドの男を殴り飛ばした。

 その威力、会場の外まで吹き飛んだのだ。

そして、Aチームのバトルロワイヤルは終了して、タラタキとトルカの2人が当たる事なく勝ち抜いたのだった。

そしてBチームにはフウカがいた。数少ない女性と、美人の事から1番目立っていた。


「きへへ!まさか、こんな可愛い子ちゃんが参加するとは思わなかったぜ。何しても今は怒られないよな?是非ともその体を触らせて貰うぜ!」


「天武四式・羅羅流星界群」


「ガフッ、ゲフッ、バフッ、アフッ!」


 フウカを襲ってくる男に向かって、超連続パンチを放った。男の顔は風船の様に膨らみカエルがひっくり返った様に地面にビクビクと倒れていた。

 そしてフウカは勝ち抜き、Cチームのバトルロワイヤルが始まる。Cチームにいたのはフリュウとスイリューだった。2人はお互いを睨み合う。


「なんで、毎年の様にお前と当たるんすか?」


「私が知りたいぐらいです。毎回毎回、この大会が始まって最初に戦う相手が君なのが飽きてきた。その下品な面を2度と拝めたくないぐらいですのに」


「あ?!喧嘩売ってるんすか?ここでぶちのめっす」


 2人の激しい喧嘩に、周りの選手が巻き込まれて、気付いたら試合が終わっていた。そして最後のバトルロワイヤルDチーム。闘技場にレイヤと、レイヤの視線の先にいる全身真っ黒なカブトムシの様なガントレットだけ太い鎧に、サイの様に兜に一本の角が伸びていた。


確か...あれが前回の前々回の優勝者ガルドーザか。ありゃ、マジで強いな


ガルドーザから感じる闘気にレイヤは警戒するのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る