第37話 拳王大会

カネアゲとアマリーは仕事があると、島に到着した時に挨拶をして別々に行動になった。


「それで、レイヤは誰に会うの?」


「俺の古い友人だよ」


 隣でリンがモグモグとアメリカンチーズドッグを食っている。レイヤはこの大会に出るであろう人物がいると語る。すると、横に仮面屋さんを横切り、レイヤは立ち止まる。


「んー、普通に会うのもつまらないよな。よし、おっちゃん!1つもらって良いか」


レイヤは一つの仮面を購入する。

 その仮面はなんも変哲もない目の部分に丸い穴が空いてる仮面。レイヤはそれを付けて街の中を観光するのだ。


「てか、大会に出るとは言ったが、あんまり知らねぇんだよな。誰か教えてくれる親切な奴いねぇかな」


「おいおい!そこに兄ちゃん!美女3人を連れ回しているなんて、良いご身分だな」


「...」


モヒカンにレーザージャケットを着た、ガラの悪そうな男が近づきレイヤにガンを飛ばす。


「おい、なんとか言えや!」


「なんて、運が良いんだ。丁度親切な方が自分からやって来るとは」


レイヤはニヤリと笑う。


「あ?なに訳のわからん事を!こっちのこい!俺との格の違いを見せてやる!こっちに来いぃ!」


「ん?なんか面白いものでも見せてくれるのか?」


「「(あーあ、可哀想に...)」」


 フウカとクロエはモヒカンの男に対して哀れみな目で見つめるのであった。そしてモヒカンの男に、裏通りに連れてかれる。

 役1分待つと、にっこりと笑うレイヤと顔がボコボコに膨らんでいるモヒカンの男が出てくる。

何があったかは特に聞かず、モヒカンの男はにっこりと笑いながら自己紹介をする。


「どうも!俺はナビルです。レイヤの兄貴に喝を入れられ心を入れ替えました!」


「「(兄貴...)」」


「わーい!レイヤに舎弟出来たんだぁ!」


リンはレイヤに舎弟が出来たことはしゃいでいた。

そして最初と出会った時の猫背から、ビシッと立つナビルはレイヤの質問を答える。


「毎年、出場者が多い事から4ブロックに分かれて、各ブロックでバトルロワイヤル式で4グループの中で4人勝ち抜きをして、その後に合計16人でトーナメント式で戦う流れです!」


「なるほど。その16人で拳同士で殴り合い優勝を狙うんだな。それで、その優勝賞品とやらを聞きたい」


「はい。優勝賞品は主に2つあります。まず賞金の1億Gです」


ぶっちゃけ、それが目的だな。自分達から懸賞首を探して襲うより、優勝を狙った方が楽だし安全だ。


「そして、二つ目は拳王と言う称号を貰う、チャンピオンベルトです!参加者はこれを目的にこの島に来る人が多いです」


チャンピオンベルトか...正直クソ要らねー


「俺も一応大会に出るんだが、何か気をつける事とかあるか?」


「流石、レイヤの兄貴です!そうですね、特にありませんが、強いて言うならば優勝者候補ですかね?」


「優勝者候補か。どんな奴なんだ?」


「そうですね。優勝者候補は主に5人です。1人目は本来得物は金棒を使う男ですが、前回の大会で根性だけだベスト3を取ったフミョウ。武を極めし、信じるモノは己の拳、その拳を岩を斬ると言われているスイリュー、優勝者候補の中で一番の怠惰な男で、才能と恵められた身体だけで前回の大会でベスト4を取ったが、準決勝戦当日に二日酔いで大会が出られなくなり棄権されたトルカ、2年前から2連覇を取り全ての試合をワンパンKOをした最強の人ガルドーザ、そして消えた元王者5年前4連覇もチャンピオンを取ったが、一年以上も姿を消した男。前回の大会で大会期間に間に合わず出場は出来なかったが、今年は出場し優勝を取ると宣言した元拳王タラタキ」


「タラタキ...そいつが出ると聞けただけだ十分だ」


 その名前を聞いたレイヤは嬉しそうにニヤリと笑うのだった。


「それで、そのタラタキって奴は今どこに居るか知ってるか?」


「そうですね。多分ですが、彼の修行場と言われている森の中にいると思います」


「森の中か...まぁ、行ってみるか」


「それは難しいと思います。彼が修行している場所は彼本人と優勝候補でもあるフミュウとスイリューだけです。彼の力の秘訣を知りたいと彼の修行場を知りたがる記者は多いですが、森の中に魔獣が多く探す事が困難なんです」


「ふーん」


初めて会った時の場所さえ変わってなければ...


「そうか。色々教えてくれてありがとう」


「はい!」


90度にお辞儀するナビルに手を振り、レイヤ達は森の中に入る。


「あっ」


レイヤは刀陣丸を布で覆い被せ手に持つ。

 そして森の中に進み、ナビルの話では魔獣が多いと言われたのにも関わらず出る気配もしない事にフウカは気になる。


「ああ、それはここ一帯に魔獣避けされてるからな。それにそれは人に有効な奴だ。だから、記者達もたどり着けない」


「なるほど。何故私達はたどり着けてるのでしょうか?」


「それはね、俺には効かないんだ。匂いで、無意識的にそこを避けるけど、俺はそう言う類は効かないんだ...?!」


「おらぁ!!」


レイヤは襲ってくるその攻撃を避ける。

その者は赤いシャツ、黒いジャケットにズボンに髪型はリーゼント。手に持っていたのは金棒だった。


「すいやせん。貴方がたはどなたっすか?ここは通常通りに来れないはずなんす。少しばかり調べさせてもらいやす」


「おいおい、調べる程度なら攻撃しなくても良いだろ」


「それは失礼しやいした。自分は強い者を見ると戦いたくなるっす」


「そりゃ、迷惑な性格だな。まぁ、少しばかりアンタの性格に付き合わせて貰ってもいいぞ」


レイヤは拳を握り構える。

 レイヤが拳で行くと分かり、リーゼントの男は金棒を地面に刺して拳を握るのであった。

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