東の界岸編
拳一本での天下取り!
第35話 影の戦士
「熱い...」
「
「へぇ、クロエ。詳しいんだな」
レイヤはあまりにも熱さに上半身裸になっていた。
「まぁ、ボクの故郷がここ
「なら、東で美味しい料理とか詳しいのか?」
「東か...うーん、ボクはあんまりグルメとか興味がないからね。あっ、スパイスを使った料理が有名」
「スパイスか...そりゃ楽しみになってきたな」
「あの...2人とも現実逃避しないで下さい。そもそも今熱いのは、地帯が関係ないと思いますが?」
「...まぁ、これだよな」
現状レイヤ達がいる場所は、南と東の間を横切る様にある火山地区のど真ん中にいた。本来なら、南から東に向かうとに火山地帯をどう回りしてから入るのだが、レイヤは操縦は出来るとは言え、地図を読むことが出来ない。その事から火山地帯の真ん中に入ってしまった。
「レイヤ、氷出して」
「無茶言うな、俺の呪具に氷を出す呪いなんてない」
「熱い...」
「っ...」
クロエも熱さにローブを脱ぎ捨てた。
フウカはクロエのラフな姿を見て、自分の胸を触るのだった。普段、ローブで隠れている事から分かりづらいが、ローブを脱いだ事になかなかの素晴らしいモノをお持ちの様だった。
「フウカ?」
何故か絶望した表情を浮かべるフウカに対してレイヤが呼びかけるもピクリと肩が反応する。
「な、なんでもありません!別に大きさとか関係ありません!いや、戦闘に置いて大きい方の方が邪魔だとか!料理の時も肩が凝るって聞いたことありますし、小さい方が良いと思います!!」
「...?。俺なんも言ってないぞ?何の話してるんだ?」
「フウカも、熱さに耐えきれなくなってる?」
何の話をしているのか分からないフウカに対してレイヤとクロエは首を傾げるのだった。
「そう言えばリンは?やけに静かだと思ったが、流石にこの熱さにはこたえたか?」
「いや、リンさんは気持ちよさそうに昼寝をしています」
「そうだった。リンの奴、得意元素は炎なんだよな。この熱さにはなんともないんだ...」
そして3人は熱さを耐え切り、火山地帯を突破したのだ。この時3人は同じ気持ちになっていた。
「「「(航海士が欲しい)」」」
それからレイヤは地図通りに、ほぼ勘で拳王大会が開く島、ラグブルグ島に向かうのであった。
「うーん、また迷っちまったぞ」
「私的に、今ここだと思います」
「いや、さっき小さな島があったから、ここら辺が妥当かな?」
「あ、確かに先程の島と少し形が似ています」
3人は集中して地図を見て、小さな会議を開いていた。操縦が出来ても、風を読む事が出来る航海士がいないと遠い場所に向かうのは困難の技だった。
「...はぁ、聞くしかないな」
「え、誰にですか?」
レイヤは雷神ノ怨を咥える。
「いや、丁度近くに大砲の音が聞こえるんだ。俺がそこに向かいちょっと聞いてみるよ。
レイヤは手足に雷を纏わせて宙に浮き、そして背中には黒い翼を生やして速いスピードで音の方へ向かう。それを見ていたフウカとクロエ。
「なんか、レイヤさんって日々日々にあの影の使い方が上手くなってますよね?」
「ずっと、あれだけ修行してたからね...成長具合がおかしい」
「てか、いきなり空から来たら驚きますよ...ん?レイヤさん、今大砲の音って言いました?」
「うん、言っていた...」
「「(絶対、なんか問題起こ[しま]す)」」
レイヤは速いスピードで空を飛んでいた。雷装だけでも空は飛べるが、雷装は飛んでいるより高くジャンプして落下速度を極限まで遅くしているだけで、ずっと飛べるわけではない。そして雷装は空中で強く蹴る事により一直線に真っ直ぐに飛べるが、曲がる事は出来ない。ここでレイヤは繊魄天野命乃杯の能力、影を自由自在に操る事から、背中に翼を作り本当の意味で空が飛べるようになった。空を飛ぶ翼と、速いスピードで動ける雷装を合わせたのだった。
そしてレイヤは遠くから3隻の船を見かける。1隻の船を挟み、2隻が大砲を一斉に放っていた。
「えっと、どっちを加勢するべきだ?...ボロボロな方を助けてみるか」
レイヤは手を上げて、2隻の船に向かって振り下ろした。
「雷切!」
レイヤは狙いを定めた2隻に向かって、2つの稲妻を落とした。真ん中の船に飛び降りる、そこには逃げ回る人達や、真ん中で金髪娘を助けようとする筋肉質の中年おっさんがいた。
「ん〜、見た感じ襲っている方が魔賊なんだよな...まぁ、違ったら違ったで、なんとかするか。ドクちゃん、阿修羅刀陣丸を頼む」
「はいよ」
翼から頭蓋骨が現れるのだった。
レイヤの新しい能力、
レイヤはドクちゃんの口の中から現れた刀を鞘から抜いて、逃げる人を襲う男達を斬った。燃え上がる炎に、武装した男達はレイヤに集中する。
「なんだ、お前は?!」
レイヤに向かって襲ってくる連中を斬る。
めちゃくちゃ重い大剣と違って、レイヤの長所である素早を活かしている事に、一瞬で船にいる敵だと思われる男達を倒す。
「えっと、助けいる?」
「ど、何処のどなたかご存知ありませんが、娘が助かるなら、いくらでも出す!頼む助けてくれ!」
「おうよ」
「う、動くな!この女を殺...」
「おせぇよ」
少女を人質に取ってる男のこめかみに、刀の柄先をぶつけて気絶させた。そして、レイヤは刃に燃え上がった炎を、刃を2本の指で撫でる様に消し鞘の中に収める。
「大丈夫?」
「...」
倒せる少女の背中に手を回し、地面に倒れるのを防ぐ。その時、レイヤ達に聞こえない効果音が少女の心に響いたのだ。
キュピーンッ!
「おい、なんか顔赤くねぇか?」
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