第1580話、出発すると決まれば早い
色々と自覚をした翌日、たっぷりを睡眠をとった体は早朝に目を覚ました。
「良い目覚めだ。やはり体調に問題は無いな」
精霊の言う事を一応気にはしていたが、やはり調子の悪さは感じない。
むしろ気分が良いせいか、絶好調にまで感じる。気分だけかもしれんがな。
シオ達は目覚めておらず、だが態々起こすにもまだ早い時間だ。
朝では有るが、日が昇った直後の様だからな。まだ少し薄暗い。
そんな事を窓を開けて確認しつつ、外に出て軽く体をほぐす。
「さて、目的地まで全力で飛ばせば一日かからんだろうが、どうなるかな」
偶然辿り着いた国で色々と無駄に騒動に遭ったせいで、拍子抜けしないと良いが。
それこそ辺境領主に語った様に、狂人の妄想などは勘弁して欲しい。
後ろに居る連中に辿り着けない事は仕方ないとしても、理由のある喧嘩である事を願う。
「みーちゃー・・・おあよー・・・」
「きゅっ、おはよ」
「ああ、起きたか」
暫くするとシオが起きて来て、ヨイチも当然の様に後ろに控えている。
ヨイチは下手すると俺より早く起きていた可能性が有るな。
まあアイツの生まれを考えれば、簡単に熟睡は出来んのだと思う。
俺の場合、脅威を感じれば自動的に目覚めるので気にしていないが。
本当に、何となく目が覚める。だからこそ辺境の雪山でも睡眠がとれた。
気が付けなければ仕方ない。その時はその時だと、開き直ってる部分もあるがな。
精霊は当然寝ている。そういう奴だ。魚は何時も通りの位置だがな。
「起きたなら朝食だ」
事前に伝えてあるので、料理人は既に俺達の朝食を作っている事だろう。
ここ数日大変だとは思うが、俺達を招き入れた奴に恨み言を言ってくれ。
俺達は悪くない。別に街の食堂でも良いんだからな。
そうして朝食を貰い、食い終わった所で新女王がやって来た。妹も居る。
「やはり、もう行くのか?」
「ああ。むしろ長居し過ぎた。本来は一日滞在で終わっていたんだからな」
滞在日数自体は六日と言った所か? 五日も無駄に滞在している。
とはいえ目的地に本来向かう時間を考えれば、その程度は誤差だとは思うが。
もし連中が何かを仕込んでいるなら、余計に焦った所で余り意味は無い。
行動に起こしている時点で、既に仕込みも終わって逃げている可能性が高いしな。
それでも行く。叩き潰しに行く。操られていようが知った事か。
「そうか・・・気を付けて。武運を祈る」
「はっ、むしろ俺より貴様の方が、余程気を付けるべきだろうよ。母親のせいでな」
思わず鼻で笑いながら返してしまう。俺より貴様の方が苦しいだろうと。
何せこれからは水晶の負荷がずっと高いままなんだからな。
だが彼女もそれは解っているのか、苦笑を見せながら肩を竦めるだけった。
そうして準備を済ませて家を出て、見送りは城の門まで。外の壁までは向かわない。
ネズミを用意するって言い出したからな。俺が全力で断った。
もしネズミの車に乗せるなら暴れるとまで言ったのが効いたんだろう。
「・・・貴殿は時々本当に子供の様だな。いやまあ、明らかに子供な貴殿に言うのはおかしいとは思うんだが、うん」
何故か若干呆れた様な、困った様な、何とも言えない顔を向けられたが。
だが子供だからな。仕方ない。実際生まれて数年だぞ。生き方を変えてからもな。
そんな訳で街は全力で飛び越えて、草原も全力で走って荷物を取りに向かう。
シオがモルモットを提案したが却下した。疲れてないので出さん。
出したきゃ自分で出せ。踊りながら小さいのは出せるだろう。
撫でられないもんとかいう文句は一切受け付けない。
「お、竈は残っているな」
「うっ。いわもぶじ」
「きゅっ。こわれてない」
『兄は妹が中々見つけられずに迷子になると思ってた』
煩い。俺も少し思っていた事を態々言うな。今日若干天気悪かったからな。
良いからとっとと掘り返して、岩も叩き壊して荷物を出すぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます