心から楽しみにしていますよ……!


 復活ッ! カリーナちゃん復活ッ!


 いやぁ、まさかアイシアったらそんなたくらみをしてただなんて……フフフ、ディア君がリボンで飾り立てて「ボクがプレゼントです」だって? 楽しみだのう……って、手を出すわけにはいかんのだけど!


 こうなったら神様に相談してみよう。文字通りの『困った時の神頼み』だ。

 宿の神棚にお祈りをささげる。


「というわけなんですが神様。如何したらいいでしょうか……」

『カリーナちゃん、神様も裸リボンのディア君ちゃん絶対見たいのでその時はコッショリ君つかわないでくださいね。よろしくお願いします』

「神様?」

『やー、手を出せばいいじゃないですか。何か問題があるんですか?』

「え、いやその。私、中身が男ですし? 一線超えたらもう戻れなそうというか」

『? だから、何か問題が?』


 やっべ、この神様元々一線どころか十線も百線も飛び越えてるお方だったわ。相談相手間違えた。

 いや、でもよく考えたら私の体は女なわけで。男の子に手を出してもむしろ正しい在り方といっても過言ではなく……確かに問題はないのだ、表面上は。まぁ見た目が幼い点に目をつぶれば、ディア君も合法だし。


『大丈夫、神様公認ですよ! 私がルールです。何か問題でも?』

「わー、ないですね。私の心情を除けば」


 ガチで神様がルールだから困る。


『しかたないにゃあ。じゃあカタログにエルフ用性転換薬……いや、やめとこ。男の娘はついてるから良いんですよ。ついてない男の娘はただの美少女ですよ』

「ただの美少女でいいんですけど!?」

『神様的には男の娘が実は美少女とか甘えだと思うんですよ。あと兄妹恋愛モノで義理の兄妹だったとか興覚めするタイプです。マイノリティが云々言うのに実の兄妹はアウトとか矛盾してませんかね』

「いやーそれはまぁ、近親関係だと実害があるわけですし。遺伝とかで子供が被害を被るからじゃないですか? 本人たちだけで完結しないのでアウト、みたいな」

『む。そう言われると一理ありますね』


 むむむ、と考え込む神様。


『おっと、話が脱線しました。まぁ神様的には一向に問題ないので一線くらい越えればいいじゃないですか? としか言いようがないですね』

「まぁ、えと、はい。そですね……」

『神様はカリーナちゃんのメス堕ちを心から楽しみにしていますよ……!』


 と、神様の気配が去っていった。


 くそう。メス堕ち推奨された。

 ……こうなったら、ディア君に手を出さないよう徹底的にスッキリしておくしかあるまい。私のコレクションが火を噴くぜ……!


  * * *


 身体的には既に堕ちてる気がしなくもないが、とりあえずどこか気怠さを感じつつもダンジョン攻略を再開である。


 前回は空間酔いで中断してしまったが、今回は対策として目をつぶって攻略していこうと思う。なに、空間魔法があるから地形の把握は完璧だ。

 それに無敵状態スターモードにしておくから敵が襲い掛かってきても絶対安全である。


 目をつぶって視覚を遮断。空間魔法による感知に切り替えると周囲の様子が把握できる。イメージとしては色のない立体レーダー表示みたいな? これなら空間魔法酔いも緩和できそうだ。よしよし。


 周囲を見回せば、そこは森だ。所々に動くモノがいるけどこれは多分モンスター。輪郭的に虫だし。こちらには気付いていないし、他に注意が向けられている様子。

 あ、戦ってるの発見。冒険者かな? 相手は人間大のカマキリだね。蟷螂拳の使い手だ。


 ……おっと! 冒険者の方が追い込まれてる。ピンチ!

 がんばれ冒険者、負けるな冒険者!……あー、あー。これはもうだめかなぁ。


「くっ、こんなところで……!」


 と、冒険者から声が上がる。可愛い女の子の声だ。うん、助けよう。

 メス堕ち回避のためにも女の子を颯爽と助けるイケメンムーブをするのだ!


「おーい、助け要る?」

「えっ!? おい、に、逃げろよ!! 何こっち来てんだッ! ブラックマンティスだ!」


 ん? 何それ黒いカマキリなの? 昨日見た赤いのとは色違いか。

 ……ん-、イエローホーネットとレッドホーネット程度の違いかな?


 と、声をかけた私の方にカマキリは飛んできた。そうか、羽があるんだねカマキリだし。とべるんだよあいつら。

 両手の鎌を十字に振るい、私に攻撃してくるカマキリ。しかし私は無敵状態スターモードだ……あ、でも冒険者に見られるのもよくないな。避けとこ。


 空間魔法の使い手たる私なら安全地帯くらい簡単に見切れるんだぜ!

 って、なんかガツンと当たったな? ん? あれ、避けたよね私?……あ! スキルか何かか!? 攻撃判定拡大してるの!? ミスったぁ!


「なっ!? ブラックマンティスの鎌が砕けた!? どんな石頭だよ!?」


 しまった。あっちの方が耐えられなかったっぽい。

 うーん、まぁしかたないね。さくっと片付けちゃおう。


「エアカッター!」

「ギチッ――」


 カマキリの首を落とす。が、まだ油断はしない。虫系は死亡後まだ動くからな……おおっと! ハリガネムシ!! きめぇええええー!!


「エアカッター! エアカッター!」

「な、な、す、すげぇ……ミスリルデビルが細切れに」


 え、なにこいつミスリルなの!?……しかたねぇなぁ、じゃあ許す!

 いやまぁ、私自身はなんかやらかしちゃった感じだけど。



――――――――――――――

(書籍化作業のため更新を緩めます。

 次回更新は 4/3 12:00 更新の予定!)

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