第二話 あやしい入手経路

 『Anotherアナザー Chronicleクロニクル Onlineオンライン』通称『アナクロ』今年の3月に始まったVRMMORPGのタイトルのひとつである。


 最近になってテレビや雑誌等にも取り上げられるようになって社会現象になりつつあるゲームである。フルダイブ技術が開発されて数年になって今では日常になりつつある昨今なぜMMORPGという有り触れたジャンルでそんなに注目を浴びているのかには少し訳があった。


 まず開発会社の『Anybirthエニーバース』の存在である。この会社はもともと中小の医療機器メーカーだったのだか5年前いち早くフルダイブ技術に目を付け積極的に開発に参加し、フルダイブ技術の産みの親と言われ今では大企業になっている。この企業は今まで技術開発はしていたがゲーム開発はしておらず安全面などの監修だけで関わりを見せていたが、『アナクロ』の開発発売元がここだと知って多くの人は注目していた。


 何故今になってゲーム開発に着手したのか誰もが疑問に思ったが発売されて少し経った頃その疑問はある理由で何処かに飛んでしまった、いや納得させられたという方が正しいかもしれない。


 それが2つ目の理由で、このゲームはあらゆる意味で生々しかったのだ。正確に言えば匂いや味、音自分が感じる全ての感覚がここが現実なのかと錯覚するほどのゲーム内の空気感というのが他のゲームとは一線を画していた。しかもこの異常としか言えないテクスチャ表現だけで飽き足らずなんと全てのNPCに特別なAIが搭載されている。つまりこの世界のNPCは自分の意思をもって生きていたのだ。


 この異常なまでのリアルさはプレイヤーに異世界に飛ばされてしまったのではと言われるまででこれが主に世間を騒がせた要因である。因みにこんなデータ量をどうやって処理しているのかという新たな疑問も出てきたのだがそれも謎のままになっている。


 そんな『アナクロ』というゲームは現在進行形で超人気で同時期に発売された新しいフルダイブ機器も含めてとても入手困難になっている。つまり。


「そういえば、咲也から一緒にやろうとか言われてたっけ?でもたしかその時は俺はあんま興味なかったから断っててハードの予約とかしてないし、今から調達するなんて無理があるだろ」


 そう実は以前から咲也に一緒にやらないかと誘われていたのだが俺はそれを話し半分に聞いていてた。学校とバイト以外はフェアルに時間を使っていたようなものだったので友人は少なくこんな一緒にゲームをしようなどと今まで考えもしなかった。


「それにお前たしか初期勢だろー?たとえ出来たとしても咲也におんぶにだっことか嫌だし、俺コミュ障だから咲也と一緒にやってる奴とかと仲良くできる気がしねぇよ、、」


「いやまぁ集は初対面が苦手なだけで割とフレンドリーだろ?wそれにフルダイブ機器については大丈夫だ」


「なんでだ?」



「それはな〜なんと俺の知り合いの人が昨日突然死してその人が持ってた物があるからな!」



 

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