MAGIC・6 敗北の美夜子

前章のあらすじ

とりの通う宇和氷川学院高等学校に、一人の転校生がやってくる。


美夜子と同じクラスに入った彼女の名前は、みやもとなえ

大阪から引っ越してきたという、タレ目だけども異様に気の強そうな女子生徒だ。


美夜子と同じクラスなのは偶然ではなく裏工作してわざわざである、と堂々宣言する宮本早苗。

さらに彼女はいう。

自分もであると。

だが仲間ではない、敵であると。


教室がざわめく中、彼女は語り続ける。

中学生の頃に、美夜子に勉強運動ことごとく負けて挙げ句のはてには嘲笑されて、ずっと恨みに思っていたのだ。と、転校の理由を。


幼い頃から母親と全国を転々としていた美夜子であるが、早苗のいっていることの記憶がまったくない。

というそのことが、ますます早苗の苛立ちに火を着けてしまう。

そんな中、キャラ立ちしている早苗を男子生徒たちがついからかったことで、彼女の怒りは完全大爆発。

美夜子はしっかり真面目に話を聞いてあげていたというのに、男子生徒とひとくくりにされて、代表として戦いを挑まれる。


クラスの生徒たちが輪になり見守る校庭で、早苗は機械の右腕に鍵を差し込むという、美夜子とまったく同じ方法で青いめかまじょへと変身する。

めかまじょである、と彼女のいっていたことは本当だったのだ。


渋々であったが変身する美夜子。

戦うことは好きじゃないけど、自分の機体能力を知っておく機会でもある。どうせなら、凶悪犯以外との初めての戦いを楽しんでしまおう。と、美夜子は開き直る。


かくして赤いめかまじょと青いめかまじょの戦いが始まった。


戦意満々意気揚々に、激しい攻撃を繰り出し続ける早苗。

対して美夜子は防戦一方。だがこれは手も足も出ないのではなく出さないだけ、自分の防御力や機動性能を確かめていただけだった。


宣言しつつ反撃に転じた美夜子は、一撃ドッカン早苗を思い切り吹っ飛ばす。

ぐったりしている早苗へと、さらには高く跳躍して上から精霊魔法による火の玉を投げ付ける。巨大なアリ地獄と化した大穴の中で早苗は、一瞬にして黒焦げのボロボロになってしまう。


「ご、ごめん生きてる?」

「生きとるわ!」


ボロボロのスクラップみたくなりがらも、しっかりちゃっかり生きていた早苗は、彼女にめかまじょ手術を施したというおじの黄明神博士とともに、悪党のような捨て台詞を吐きながら走って逃げていくのだった。


かくして地球に平和が戻ったのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る