05 変身……しちゃった

「ほないっくでえええっ!」


 おでこ全開タレ目の少女みやもとなえの右腕が、いつの間にか人型戦闘ロボット然とした青く無骨な機械のものになっている。

 紺色の女子制服にはなんとも違和感のあるその腕を、彼女は叫びながら強く天へと突き上げた。


 ぐ、と力強く拳を握ると、その無骨な青い右腕をゆっくりと下ろしていく。

 正拳突き出した格好の右腕へと、左手を近付ける。

 左手には銀色の鍵を持っている。青い金属の右腕側面に鍵穴があり、差し込むとガチャリひねった。


 ふうん!

 爆音、右腕が唸る。

 彼女の足元に風が回り始め、校庭の土が舞い、ぱたぱたとスカートがなびく。


「精霊マジック発動レベルワン!」


 ロボットやSFの科学甲冑といった感じの機械の右腕が、ガチャリと開き膨らみ空いた隙間から青い光が漏れ出ると、中からしゅんしゅんしゅんなにかが回転している音。

 キラキラ光る青い粒子が風とともに舞い、彼女の全身をぐるり包み込んでいた。


「磁界制御! 力場制御! 魔道ジェネレーターブーストアップ!

チェック完了! 内圧良好! へんっしいいいいん!」


 包み込む青い光の中で、彼女の着ていた制服その他すべてが溶けていた。

 だが裸になるわけではなく、溶けたその瞬間にはまったく別の姿へと変化をしていた。

 四肢や胸を右腕同様の青い装甲に包まれて、顔にはコンパクトなヘッドギア、という戦闘スタイルへと。


 青い輝きが風になり、まるで人型ロボットといった外観の彼女は、ふわり浮かび上がったその瞬間、ぐんと風に背中を押されて風を突き抜けて高く舞っていた。

 金属に覆われた重そうな全身であるというのに、ふわりスチャリと軽やかに着地。


「変身完了阪神最高! めかまじょサナエ! 見たかあ、これがうちのめかまじょやあああ!」


 青い全身の宮本早苗は右の拳を勢いよく突き出すと、ニヤリ好戦的な笑みを浮かべ叫んだ。

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