甘さ、ほろ苦さ。痛み、温かみ、ふいの冷感。そして笑い。ほんの数行の物語に、五感を、感情を呼び覚まされ、かき回される。驚くべき作品だと思います。
あるいは一瞬のイメージをとらえたイラストのようなものでしょうか? 次はいったいどんな作品が投稿されるのか? 楽しみになること請け合いです。
一人の作家が描く様々な人間ドラマのCubism。色んな表情に魅せられて、何度だって恋に落ちる。そんな短編集。
冷えた怖さ、可愛いらしい、軽やかにゾッとする、シンとせつない、やさしい、壮大。研磨された文体がひとつひとつのストーリで趣向の違う世界へといざないこむしかも、あとに美しく残る世界。※ネコにしたわたしもやっぱりネコにします。
削ぎ落された言葉。それが研ぎ澄まされたストーリーとして心に刺さります。一瞬にして世界を覆す、その鮮やかさが印象的です。あるエピソードは切なく。あるエピソードは心を抉る絶望感を。そして、また別のエピソードは美しく、或いは軽妙に。一話一話、異なる姿が連なるのも魅力的。エピソードタイトルの妙がスパイスになる等、一字として流してはいけない短編集です。