第15話 戦闘開始

 スピーチが終わった。


「来るぞ!」

 モニターの中でマーティンが恭しくボタンを押した。


「ガコン!」

 いつもと違った音がして、ゆっくりと天の門が両開きに開いていく。壁に張り付いていたアングラメンバーが一斉に、メタンガスの詰まったタンクを投げつけた。


「うわっ!」

 思いもよらない飛翔物に驚いた警備隊員が発砲した瞬間、メタンガスに引火した。


 大きな爆発音を合図に、アングラメンバーがまだ開ききっていない扉の向こうへ次々となだれ込む。

 激しい銃声と怒号が飛び交う中、ゆっくりとスロープが降りてきた。


 ダンとアイシャは炎を吹き出している天の門を睨みつけていた。


(誰か、一つでいい。通信機器を!)

 その時、黑いドローンが城壁を超えてきた。

「ダン! 届いた!」

 ルークはゆっくりと伸びてくるスロープに飛びつきよじ登るとドローンに手を伸ばす。


「パンッ!」

 乾いた銃声がルークの左胸を貫いた。崩れ落ちたルークの身体を2発目、3発目の銃弾が蹂躙する。


「ルーク!!」

 思わず駆け寄ろうとするダンをアイシャが力づくで引っ張った。


「ダン、ドローンが!」

 ハッと顔を上げれば、制御を失ったドローンがまっすぐ堕ちてくる。

 血溜まりの中でボロ雑巾のように横たわるルークは、もはやピクリとも動かなかった。


「クソッ!!」

ダンはギリギリと奥歯を噛み締めながらルークの遺体に背を向けてドローンを追った。


 なんとか空中でキャッチして、ドローンの足から小型のタブレットをもぎ取る。

 ダンが起動したタブレットに、アイシャは意識をねじ込んだ。

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