第27話 騙サレル
「じゃあ、娘のお祓いは成功したんですね?」
「ええ。まあ、あの程度のモノなら、そこまで手間はかかりませんからねえ」
「いやあ、ありがとうございます。一時はどうなることかと……」
「はっはっは。この私にかかれば、どうってことはありませんよ」
「ところで……娘はいつになったら目を覚ますのでしょうか?」
「心配いりません。もうそろそろ、目覚める頃でしょう。あっ、ほら」
「……う……ん」
「お嬢さん、お目覚めになりましたね」
「……ここは?」
「お寺です。あなたは、悪霊に取り憑かれて意識を失っていたんですよ」
「……悪霊?……あの男は?」
「あの男?」
「あ、あの男が私を殺そうとしてっ、いやっ、いやあっ!」
「お、お嬢さん、落ち着いてくださいっ。もう安全ですよ。ほら、お父さんも傍にいますから」
「お父さん?……いやあああっ!なんでこの男がここにいるのっ!こいつは、お父さんなんかじゃないっ!私をストーカーしていた男よっ!」
「……えっ?」
「なんでなのよっ!殺したはずなのにっ!いやああっ!」
娘の泣き叫ぶ声が響く中、
「……やっぱりあんた、インチキ霊能者だったんだなあ」
娘の父親だと思い込んでいた男が、気味の悪い笑みを浮かべながら、シャツの裾を捲り上げ、腹を見せた。そこに刺さっていたナイフが引き抜かれ、俺に向かって振り下ろされる。
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