第144話 女子会2 

【sideカリン】


 私だって、こんなことはしたくない。したくはないが、やっぱり面白いと思ったら、怖いと思っても見たくなるじゃん。

 阿部さんが五つも守護のネックレス買って行ったわけよ。その渡す相手が誰なのか気になって気になって眠れないじゃん。夜しか。


「第二回女子会をここに開催します!!!」


 私のテンションはおかしくなっていたそれは認める。だけど、偶然ってある? 本日もミヤコママお店を貸切にさせてもらって女子会を開催したんだけどさ。


「あっ、あの。こちらの方は?」

「うちの姪です。本日は貸切やから給仕に来てもろたんです」


 ミヤコママの姪御さん。お名前を矢場沢薫さん。待って待って、どうして守護のネックレスをつけてるの?それもこの間、阿部さんが買って行った特別なやつだよ! えーどういうこと?


「カオリさん。お久しぶりです」

「ユイさん、お久しぶりです」


 えっえっえっ?どうしてユイとカオリさん知り合いなの?


「ちょっ、ちょっとユイ。ミヤコママの姪御さんと知り合い?」

「ええ。前回、ヒデオさんと食事に来た時もお手伝いをされていたわよ。その時に連絡の交換などをさせてもらってね。ヒデオさんとは会社でご同僚なのよ」


 なっにーーーー!!!!やっぱり阿部さんの知り合いじゃん!!!しかも同僚って、めっちゃ清楚系の綺麗な人なんだけど。

 ミヤコママも綺麗だけど、若さがある分、リフレッシュさと言うか、めっちゃ男性が好きそうな顔なんだけど。


「私カリンって言います。カオリさんって私も呼んでいいですか?」

「はっ、はい、大丈夫ですよ。よろしくお願いします。カリンさん」

「えへへへ。カオリちゃん可愛い」


 はっ! ユイの味方をするつもりだったけど、清楚で控えめな態度にグヘヘと私のおじさん要素がダダ漏れになってしまった。

 これはあれだな。阿部さんもそりゃやられちゃうよ。


「よかったら、カオリちゃんも一緒に飲もう!」

「えっ、いいんですか?」

「今日は経費だから奢っちゃう! 最近冒険者ギルドは大盛況で臨時ボーナスが入ったんだから。ねぇ、ユイ」

「まぁそうね。カオリさんもよかったらどうぞ。これも全てヒデオさんの活躍のおかげなのでお裾分けです」

「ヒデオさんの?」


 おっ!カオリさんも阿部さんの話に食いついて来たぞ。もしかして脈アリだったりするのかな? じゃあ、首につけているのも案外、お礼とかおじさんが貢いでいるとかではない?


「ヒデオさんの話ですか? まずは私からしたいです!」

「シズカ、あんた今日は飲み過ぎだよ」

「冴ちゃん。いいじゃない。今日は奢ってもらえるんだから」

「それはそうだけど。すみません。この子、最近すごく上機嫌で」

「いいよいいよ。事実経費で落としていいってギルドマスターが言ってくれたからね。じゃんじゃん飲んじゃって」


 口を軽くさせるためには、お酒が一番。

 ギルドマスターには、許可を出させた私偉い。


「それでですね。ヒデオさんは、雪山の雪崩に飲み込まれた私を助けに来てくれたのです」

「あっ!それ、テレビで見てました」

「そうなんです。そうなんです。カオリさん。わかってくれますか?私、湊静香って言います。シズカって呼んでください」

「シズカさんが無事でよかったですね」

「そうなんです! 全てヒデオさんのおかげなんです。感謝しかありません。他にもたくさん助けて頂いて、素晴らしい先輩です」


 シズカちゃん。あんた絡み上戸だったのね。前もハルカと揉めていたし。てか、うわ〜高額守護のネックレスの二人が熱弁してるよ。

 阿部さん。シズカちゃんは、冒険者で危険だからわかるけど。カオリさんにまで高額の渡すってことは、意味深すぎない?


「ユイ。最近は、パーソナルトレーニングサボっているんじゃない?」

「そっ、そんなことないわよ!ちゃんと週二では続けています!」

「そう?その割には、少し太ってきた?」

「まさか!体重は変わってません」

「ヒデオさんが大量に魔物を狩ってくるから、仕事多すぎちゃう?」

「そうなんですよ。カリンが鑑定してくれた物を処理するので、少し残業するようになりました」

「あははは、それは災難やね」


 カウンターで並ぶ大人二人の首には、中くらい。

 うんうん。阿部さんの好みがわかってきた気がするよ。

 それにしても阿部さん。ちょっとモテすぎじゃない? ここにいるうち四人もバレンタインのチョコをもらったってことだよね?

 全員が、美人と美少女で、ハゲ親父のくせにやるなぁ〜。


 だけど、全員が前と違って何かしら余裕に見えるのは何で何だろう? プレゼントをもらって優雅に阿部さんの話に耳を傾けて前だったらピリピリした雰囲気だったように思うんだけど。


 うーん。あっ! もしかして、みんな守護のネックレスを自分だけにもらえたと思っているのかな?

 確かに、シズカちゃんのやつとか、前のデザインに近いからハルカたちはわからないかも。

 それに、ハルカは元々持っていたと思うし。全員がデザインが違うから気づかない?


 いや〜、この事実を知っているって私だけなのかな? 


 ただ、カオリちゃんとシズカちゃんの二人が高額の守護のネックレスをつけているってことは阿部さんの気持ちはそう言うことなんだろうね。


 はぁ〜知りたかったけど。知ってしまうと切ないね。まっ、誰にも言わないけど。




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