第125話 私の生涯に一片の毛は無し

【ツルピカorフサフサ】you ready OK?


タップしたスキル画面の表示を見て、私はそっと画面を閉じました。


「すでに、頭も髭もツルピカとして生活をしてきました。もう半年です。さすがに私だって慣れました。涙は出ます。ですが、このスキルを取らないで、ミズモチさんを強化してきたことで、様々な恩恵を授かってきました」


清潔感があると、三島さんやカオリさんが言ってくれるようになりました。

冒険者ギルドで、ユイさんやシズカさんが話しかけてくれるようになりました。

大阪では、ハルカさんが私を面白いと言ってくださいました。


全て、私の髪が無くなってからの話です。

ミズモチさんと共に歩んで来たからです。


「今の生活に私は後悔はありません!」


私は習得したスキルポイントを全て使って……


Kとの永別以外のスキルを習得しました。


new魔物の操縦技能


・魔物騎乗時、操縦が向上するため魔物への負担が軽減する。


おお!やっぱり取ってよかったです。

今は、ミズモチさんのツノにしがみついているだけだったのです。

少しでも楽になって、ミズモチさんへの負担が減るなら、これは良いスキルですね。


new恐怖耐性(中)


・ほとんど恐怖を感じなくなる。危険察知の性能アップ。危険を察知する力は今までよりも強くなる。


なるほど。恐怖とは自分が相手に感じる恐れのような物なのでしょうね。

それをさらに研ぎ澄ますことで、危機と恐怖の違いを明確にしたということなのでしょうね。


new鬼人化


・鬼人の血を固めた丸薬を飲んだことで条件を達成。鬼人の力を己に取り込み、鬼人化をスキルとして固定化させる。


えっ?鬼人化って常時できる物ではなかったのですね。回数制限があったとは考えていませんでした。

白鬼乙女さんがくれた丸薬を飲むことで、スキル発現の条件を満たしたことになるだけだったとは……ダンジョンとはまだまだ未知ばかりですね。


A級以上のダンジョンを攻略できるほどの人物はほとんど世界に居られないそうです。

この間のようなB級ダンジョンのビックブラックベアーさんで、あれだけ大変だったのです。


上級ダンジョンから魔物が溢れたら、どうなってしまうのでしょうね。


「ふう、これでよかったのですよね。Kとの永別。私は」


ミズモチさんに視線を向けます。

本日は疲れたのか、ダンボールから出て来られませんね。


私もなんだか色々と疲れてしまいました。

精神的な疲労のせいでしょうか?私はすぐに寝落ちしてしまいました。


仕事がある月曜日に目が覚めると、昨日の出来事が嘘のように体はスッキリとして爽快感があります。


「ミズモチさん。おはようございます」


私が目を覚ますと、モゾモゾとダンボールから出てきたミズモチさんが、まくらもとまで来てくれます。

プルプルとしていてとても可愛いです。


『おはよう〜』


それは、今までのカタコトのような挨拶ではなく。

念話さんらしくない。

流暢な挨拶が返ってきました。


「えっ?ミズモチさん?」


『ヒデ〜おはよう』


名前の呼び方は今までと同じです。でも、挨拶がしっかりと綺麗に聞き取れます。


「また一歩、お話がしやすくなりましたね」


また、一つ。


ミズモチさんのスキル習得にポイントを使ってよかったと思えることができました。


「ミズモチさん。今日は一緒に会社に行きませんか?もう少し話をしていたいです。それに不思議なんです。昨日よりもスッキリしていて自分自身でも気分がいいんです」


『いいよ〜会社いく〜』


念話さんは、今まで漢字を使うことなどありませんでした。

ミズモチさんの発音が上手くなかったのか、変換できなかっただけなのか……

ハッキリとミズモチさんから会社という念話が届きました。


「それでは用意してきますね」


私は洗面台に立って鏡を見ました。

いつも、見慣れた顔のはずなのにどこか不思議に感じるのです。


「うん?ヒゲも、産毛も、顔に毛がない?」


私は、ふと違和感を感じてズボンを下ろしました。

いつもはお腹から股にかけて、生い茂る草原も。

脛に生える細やかな毛たちも全てが失われております。


「なっなんじゃこれりゃ!!!!」


私は自分の毛が生えているであろう所を全て確認しました。

ですが、一本もありません。


ツルピカです!!!


Kとの永別!!!こういうことだったのですか???


衝撃によって、足はフラつき動揺する私はリビングへと戻りました。


『ヒデ〜大丈夫?』


ミズモチさんが私の様子を心配して足元まで来てくださいました。


ギュッとミズモチさんを抱きしめます。


ミズモチさんは私を心配してくれるように声をかけてくれて、成長していることが実感できます。


「ミズモチさん。大丈夫です。私は大切な物を失ったのかもしれません。ですが、今はそれよりも大切なあなたがいます」


改めて、天秤にかけた時……


私は抱きしめていたミズモチさんを高々と掲げました。


「私の生涯に一片の毛は無し!!!ミズモチさん。私はあなたと共に生きていくのです!!!」


新たな決意を持って私はスーツに袖を通しました。


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あとがき


どうも作者のイコです。

前話での、私の後書きにお付き合いコメント頂きありがとうございます!!!

たくさんのレビューも頂き大変嬉しく思っております。ありがとうございます(๑>◡<๑)


コメントにもありましたので、1万の☆レビューを頂いた際には、レベル11にて阿部さんがKを取った場合のIF話を書こうと思います(๑>◡<๑)


需要はあるのかな?w

まぁ気楽にいったらいいなぁ〜程度に思っております。


いつも読んで頂きあがとうございます。

いつも10万区切りになるように話の展開を考えております。

今回はこの話で10万字になるため、話の区切りでした。


それではまた明日をお楽しみにして頂ければ嬉しく思います(๑>◡<๑)

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