第108話 デートですか?

本日はカオリさんと約束していた映画を見るために少しばかりおしゃれな姿をして映画館にやってきました。

私ができるオシャレな姿など限度があるので、某服店で飾られていたマネキンコーデをそのまま着てきました。


冬コーデということで展示されておりました。


ダボっとした黒いワイドパンツ。

タートルネックの白いトレーナー。

黒い皮の靴

茶色いチェスターコート

黒いハンチン


全て某服店で飾られていた内容を、そのまま着てきました。

こういうのはセンスのない私が考えるぐらいなら、プロのオススメに乗るのが一番です。


本日のミズモチさんは、小さくなって私のショルダーバックの中で寝ておられます。


「おっ、お待たせしました」


そう言って現れたカオリさんは、いつものギャルメイクではありませんでした。

化粧は薄く、清楚なイメージです。

声をかけて頂かなければ気づけなかったと思います。


茶色いロングスカート

黒いセーター

赤い大きいマフラーをふんわりと巻いて

白いフワッとしたコート

足元にはスカートと同じ色の茶色いブーツを履いていて


大人女子コーデというのでしょうか?物凄くカオリさんに似合っています。


いつもとのギャップでドキドキしてしまいますね。


「全然待っていませんよ」

「ふふ、そう言ってもらえてよかったです。行きましょうか」

「はい」


前を歩くカオリさんからなんだかいい匂いがするような気がします。

あっダメです。

女性の匂いを嗅いでいる変態だと思われてしまいます。


映画館に入って席に着きました。

今は、一席ずつ間隔を空けて座るんですね。

一緒に来ているはずなのに、なんだか一人で見ているような気がします。


ミズモチさんは暗くて暖かい映画館が心地よいのか気持ちよさそうに寝ておられます。


これはデートと呼んでいいのでしょうか?


映画の途中でカオリさんを見れば、涙を流しておられました。

ああ、凄く感動的です。

私も涙を流していて共感したくて、カオリさんに視線を向けました。

泣いている姿はとても綺麗で、邪魔してはいけないなって………


同じところで泣けるってなんだか嬉しくなってしまいます。


「凄くよかったですね!!!」


映画館を出た私は、つい興奮して大きな声で感動を伝えてしまいました。


「はい。凄くよかったです!」


互いに映画の感想を語り合いついつい興奮してしまいます。


久しぶりに見ましたが、もう一度全巻ネット購入して読まなければなりませんね。

マンガへの想いが再熱してしまいました。


「あの、ヒデオさん」

「はい?」

「この後………」


――トルルルル


カオリさんが何かを言おうとして私のスマホが鳴りました。


「……どうぞ」


カオリさんに促されてスマホの画面を見れば、冒険者ギルドからでした。


「すみません。冒険者ギルドからです」

「お仕事の?どうぞ出てください」

「失礼します」


私はカオリさんに断りを入れてスマホをタップしました。


「はい。阿部です。はいはい。えっ!それは!!!わかりました」


スマホからは、ユイさんの声で緊急連絡を伝えられました。


「どうかしたのですか?」

「すみません。カオリさん」

「えっ?」

「この後は一緒に食事でも行けたらと想っていたのですが、緊急の呼び出しがかかってしまいました」

「緊急の呼び出し?」

「はい。冒険者ギルドの方でトラブルが起こったようです」


B級になると緊急時に呼び出しを受けます。


まさかこのタイミングとは………


「何があったのですか?」

「本日行われていたB級冒険者試験でトラブルが起きたようです」

「トラブル?」

「はい。雪山で行われていた試験会場で雪崩れが起きて、試験を受けた人たちが生き埋めになってしまったようなのです」

「!!!それは………でも、ヒデオさんが行かないとダメなんですか?危険では?」


心配してくれるカオリさんには申し訳ありません。


「本当にすみません。カオリさんとせっかく楽しく映画を見て、映画について語り合いたいと想っていたのですが、人命を優先したいと思います」

「………ヒデオさんに危険はないのですか?」

「………危険だと思います。魔物の出る雪山です。それもB級以上の人しか入ることが許されていない場所です」


私はカオリさんに背中を向けました。


危険だと言ってしまいました。


心配そうにこちらを見ていたカオリさんに止められるかもしれません。


私だけかもしれませんが、楽しかった時間を壊してしまいました。


「お気を付けて行ってきてください」

「えっ?」


背中を向けた私へ……… カオリさんが声をかけてくださいました。


「無事に戻ってきてくれると信じています。どうかお気を付けて」


振り向いた私が見たのは、胸の前で祈るように目を閉じるカオリさんの姿でした。


彼女は冒険者ではありません。


それでも気丈に声をかけ、祈ってくれている姿はとても愛おしいと思ってしまいます。


「ありがとうございます。必ず無事に帰ってきます」


私はそう言って………


祈ってくださる手に自分の手を重ねました。


「あっ!」

「その祈りを持って行きたいんです」


しばらくカオリさんの手を握って体温を感じてから、そっと私は手を離しました。


「行ってきます」

「はい!いってらっしゃいませ!」


今度はしっかりと目を見て送り出してもらいました。


―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


作者のイコです。


すみません。

予約投稿するはずだった物語を、投稿してしまいました。

読んでいるのが途中だった方は申し訳ありません!!!


間違ってしまったので、もう投稿しますw


修正する前なので、誤字脱字が多いかもです済みません(^_^;


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る