第93話 トレントの森 2

夜にダンジョンにいくのは、ご近所ダンジョンさんで慣れっこですね。

私って実は夜の方がダンジョンにいることが、多いかも知れません。


ご近所ダンジョンさんに行くのは夜です。

ハルカさんと年末に夜を明かしたのもダンジョンでした。

今となっては懐かしいですね。

もうあれから一ヶ月経ちました。


時が流れるのは早いものです。


【ミズモチさん】《ヒデ~ゴハン~》


「おや、お客様のようですね」


一体のトレントがこちらに向かってきます。


「ミズモチさん、私に戦わせてください」


【ミズモチさん】《ヒデ~ガンバ~》


ミズモチさんの声援は百人力ですね。

トレントさんと黒杖さんはどちらが硬いでしょうか?


「刺突」


トレントは黒杖さんの衝撃で後退しました。

ですが、私の手には木を棒で叩いた時と同じ痛みが走ります。手が痺れました。

黒杖さんでの突き攻撃はトレントには効果が薄く厳しいことが分かりました。


「引っ掛け!」


今度はトレントの根のような足を狙ってみました。


「ギギギギ!!!」


おや?普段は「GYAA」っと聞こえている声が、ギギギギって聞こえましたよ!

魔物言語学基礎の効力でしょうか?相変わらずスキル初期は微妙な感じではありますが、いつもとは違うように聞こえるのは嬉しいですね。


「これもダメですね」


ウネウネと蠢く足は、一つを刈っても他の根が土台になってトレントを倒すことができません。


「ライトカッター」


頭を振って光の刃を飛ばして見ます。

トレントの中心めがけて飛んでいった光の刃は……


スパン!


綺麗な音を立ててトレントを切り裂きました。


物凄くいい音がして、トレントが倒れました。

後には魔石が残ります。ドロップ品は出ていません。


武器ではトレントを倒すことがとても大変です。

魔法には撃てる回数制限があるので、普通は何度も魔法は使えません。


私の場合は、ミズモチさんがいるので……

魔物の魔力共有を使うことで、魔力を回復することが出来ます。


「これは簡単に倒せてしまいますね」


追加で、やってきたトレントを魔法で倒して、魔力回復を行います。

ライトカッターであれば20発ほど撃てます。

ですが、ダンジョンにいる間はミズモチさんの魔力が回復するので、魔力を分けて貰えば私も魔力回復が行えます。


さらに、魔石などを買取りしてもらわないでいいなら、ミズモチさんの魔力回復に使うことで回復量が増大していくらでも魔法が撃てるというわけです。


「ダンジョンにいる間はなんとかなりそうですね」


トレントさんは私のライトを見ても眩しそうにしないので、効果を心配しておりましたら。

攻撃としては、十分に効果を発揮してくれました。

フラッシュは熱を発生させるので、使うのを躊躇ってしまいます。


なんとか、無事に試験を終わらせることが出来そうで安心しました。


――「逃げろ~!!!デカいのが出たぞ!!!」


悲鳴に近い声で、避難を指示する声が聞こえてきました。


大きいのが出たという言葉通り、他の木々を薙ぎ倒して現われたのはトレントツリーと呼ばれるトレントが進化した魔物です。


「ミズモチさん。ウォーターカッター!」


【ミズモチさん】《は~い》


ミズモチさんの魔法が、巨大なトレントに飛んでいきました。トレントツリー本体にダメージを与える前に枝に当たって消えてしまいました。


「うわ~さすがに大きい魔物は初めてなので、戦い方がわかりませんね」


今までで一番大きかったのがいばらき童子さんです。

あとでハルカさんに聞いた話では、3メートルぐらいの大きな鬼さんだったようです。


ですが、今のトレントツリーは5メートルはありそうです。


事前に調査したトレントツリーは、大きいものでは30メートルの化け物も出たことがあるそうです。


それに比べればまだ小さいです。

私でもなんとかなるかもしれません。


「ミズモチさん。ここは合わせ技で行きますよ」


【ミズモチさん】《ヒデ~よろ~》


「ミズモチさん、アイスカッター乱れ打ち」

「私も行きます!アベフラッシュビーム一点集中!!!」


温度に弱いトレント系の魔物は、氷も火も弱点になります。

ですが、火事を起こしてはいけないので、ミズモチさんが冷やした箇所を私のフラッシュで一点集中で攻撃です。


「あんた何してんだ!早く逃げろ!!!」


後ろから声をかけられました。

顔を動かすと魔法が放てない私は声で応対します。


「どうぞ皆さんは逃げてください」

「なんでハゲたオッサンに任せて、冒険者パーティーである俺たちが逃げるんだよ!オッサン、舐めるなよ!」


そういって三名の若者たちが一緒に戦ってくれました。

魔法が使えないようで、剣で枝を切り払ってくれています。


「おい!何かするぞ!」


トレントツリーが震えだして暴れ出しました。


「皆さんを守らなければ、ミズモチさんアイスウォール!」


確実にダメージを与えられています。

トレントツリーに余裕がなくなってきました。

やっぱり皆さんで攻撃すると、ダメージの蓄積量が早いです。


「おい、おっさん。あんたやるじゃん。

俺は赤羽アカバ!こっちが青柳アオヤギ、ふんでこっちが黄口キグチだ。

どうやらオッサンと、そっちのおチビちゃんの攻撃が有効的みたいだから協力するぜ」


おお!イケメンリーダー風のお兄さんが協力を要請してくれました。共闘と言う奴ですね。ふふ、ついに男性の若者と共闘をするときが来ました。


戦隊ヒーローの仲間入りを果たした気分です!!!


アカバ君が赤色

アオヤギ君が青色

キグチ君は黄色


ミズモチさんは青で被っていますが、今は氷を使うので白ですかね?


私は…… 肌色でしょうか?


「皆さんよろしくお願いします!!!ここが試験の正念場だと思っております!!!頑張りましょう!!!」


「「「おう!!!」」」


【ミズモチさん】《ヒデ~ガンバ~》



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あとがき


どうも作者のイコです。

いよいよカクヨムコン8も残り10日を切りました。


【道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました】


ライト文芸部門で一位をキープさせてもらっています。

たくさんの方に読んで頂きありがとうございます!!!


このまま最後まで行ければ嬉しく思いますので、どうぞ応援を……



【ミズモチさん】《れびゅ~くれ~》


「ミズモチさんいけませんよ!作者様の挨拶を邪魔しては……あっ皆さんいつも♡いいねありがとうございます!!!今後もミズモチさんの活躍の応援をよろしくお願いします。アベフラッシュビーム!!!」


【ミズモチさん】《ヒデも~よろ~》


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