第74話 ミズモチさんの一日

ミズモチさんの一日は私の起床と共に始まります。


「おはようございます。ミズモチさん」


私が目を覚ますと、ミズモチさんは、モゾモゾとダンボールベッドから身体を出して、私の元へとやってきてくれます。


【ミズモチ】《おはよう》


「すぐに朝食にしますね」


私が立ち上がるとプルプルとしながら、私が起きた布団の上で停止しておられます。温かいのですかね?


ミズモチさんに挨拶を済ませた私は電気ケトルでお湯を沸かします。

沸かしている間に顔を洗って、髭のチェックをします。

髪もですが、髭もそれほど生えません。

どっちもツルツルなので、乾燥防止のために化粧水と乳液は朝晩忘れないようにしております。


「さて、朝食にしますよ」


熱したフライパンに油を垂らして、ベーコンと卵を焼きます。目玉焼きは塩で、ベーコンはケチャップで頂きます。

その間に食パンにバターを塗ってトースターにインしました。


「ミズモチさんは、こちらをどうぞ」


ミズモチさんには買っておいたドーナツの詰め合わせです。肉が一番好きなミズモチさんですが、最初にバターロールを食べてから、パンもお好きなのです。


そのためミズモチさんの、朝はパン派です。


「いかがですか?」


ドーナツを食べられている間に、私も自分の朝食を食べ終えました。歯を磨いてスーツへ着替えます。


「それでは行って参ります」


【ミズモチ】《いってらっしゃ~~~》


私はミズモチさんにお見送りして頂いて家を出ました。


「ミズモチさん。今日は遅くなりますので、昼と夜のご飯は、テーブルとキッチンに分けておいています。

お腹が空いたらキッチンの分も食べていいですからね」


【ミズモチ】《は〜い》


早く帰れる日はテーブルにだけご飯を置きます。

お昼に食べてもらうようにしているので、それを伝えておきます。

ですが、遅くなるときは、キッチンの上に別の加工肉料理を置いていきます。


私は家を出て、出勤するまでの間に、このたび設置したペットカメラを起動しました。


ミズモチさんは、私が出勤した後は何をされているのでしょうか?


カメラに写るミズモチさんは、私を見送った後。

私が寝ていた布団に乗りました。

畳まれた布団の上は朝日が差し込み。

布団の上に乗って日向ぼっこをされているようです。


プルプルと日差しを浴びるミズモチさんは、和みますね。一緒にお茶でも飲んで、まったりしたいです。


会社についた私はペットカメラを一旦切って、仕事のスタンバイを整えました。

毎日一緒に出勤するのは、ミズモチさんへの負担になるのでお家でお留守番をお願いするのです。

この度、お留守番をしているミズモチさんは何をしているのか観察したいと思ったので、ペットカメラを購入してしまいました。


「さて、本日も仕事をしながらミズモチさんを観察です」


スマホを充電をしながら、画面には部屋が映し出されています。

これを見るために画面の大きなパッドを買おうか真剣に悩みました。私はアナログ人間なのであまり操作が詳しくありません。パソコンとの連結も出来るらしいのですが、やり方が全然わかりません。

必ず、調べてパソコン画面にミズモチさんを映してやろうと言うのが、私の目標です。


「おや?日向ぼっこは終わったのかな?」


私の布団の上で日向ぼっこしていたミズモチさんが居ません。

どこに行ったのだろうと部屋の中を見渡しても、ミズモチさんの姿を写っていませんね。


「どこに言ったのでしょうか?ワンルームですから、他に行ける場所はお風呂場か洗面所、おトイレぐらいです。ミズモチさんはおトイレをしないので、お風呂場でしょうか?」


せっかくミズモチさんの行動を見ながら仕事をしようと思っていたのに残念です。


「うん?うわっ!ミズモチさん!」


いきなりドアップのミズモチさんがカメラに写りました。どうやら、カメラの真下にいたようです。


「ミズモチさん。私の声が聞こえますか?」


スマホのスピーカーをオンにすれば、私の声がミズモチさんに届きます。


「カメラは食べないでくださいね。お高いので!」


近くに居れば念話さんで、ミズモチさんが言いたいことが分かるのですが、さすがに画面越しではわかりませんね。私の声が聞こえたからか、ミズモチさんが離れて行きました。


どうやらこちらの言葉はわかってくれたようです。


カメラから離れたミズモチさんはダンボールへ戻っていかれました。

私も仕事に集中していると、寝ていたミズモチさんから動く気配がしました。


「阿部さん。お昼にしましょう」

「矢場沢さん、ありがとうございます」


どうやら、ミズモチさんもお昼を取られるようです。

テーブルに置かれた食材たちを食べるために、水餅サイズでテーブルへ上がられました。


大きいままですと、お皿を落としてしまったりするので、水餅サイズが食事の時は最適です。

本日は冷凍食品でも、ミズモチさんお気に入りベスト3を置いてきました。


お弁当用に売り出されている物なのですが、ミズモチさんがお気に入りなのです。


それぞれ三袋ずつ、お皿に置いています。


第三位 肉厚メンチカツです。


ボリュームがあってミズモチさんが大好きな肉の味が楽しめます。


第二位 からあげチキンです。


自然解凍でも、しっかりとした味わいがミズモチさんの好みを刺激します。


第一位 冷凍やきいもです。


意外にも、甘いお芋さんがお気に入りで、三袋を嬉しそうに食べてくれます。


ハァ~お弁当を矢場沢さんと食べている間もミズモチさん観賞を一緒にして、矢場沢さんも癒やされておられました。


その後のミズモチさんは、ミズモチさんに用意した自動循環浄水器から水を飲み。日向ぼっこお昼寝に戻っていかれました。


ほとんど寝ているようですが、動きがあるミズモチさんはプルプルとしてやっぱり癒やされますね。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る