最終章 5
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槍と
霊峰タカチホの登頂に挑む二人は、まさに鋭利な槍先のごとく、頂上に向けて最短距離を突き進んでいた。もしも、純粋な人の力だけでこれを成し遂げようとしたら、試算では一月ほどの期間を要すると目されている。
それは単に歩行距離だけの問題ではなく、
人間が生身でこの大気を吸い込み続けた場合、頭痛や
それらを回避するため、徐々に高度を上げながら身体を慣らすという方法が提唱されたが、タカチホの聖地としての神格化に伴い、十分な検証が成されぬままに無期限の閉山となった。
やがて登山技術は衰退の一途を辿り、
そして、天頂に座す恒星が彼方の山脈に向けて傾きを始めた昼下がり、ついに二人はタカチホの
しかし、四方に雲海を望む平坦で開けた山頂は、確かに厳かさを抱かせる空間ではあったが、特に祭壇や祭具のようなものは見当たらず、どのように儀式を執り行うのか皆目見当も着かなかった。
氷雪に閉ざされた大地で、まるで身を寄せ合うように敷き詰められた
「あれが
その名には聞き覚えがあった。ヌーナの創世神話に登場する伝説の鉾である。かつて、世界にまだ大陸がなく、全てが遥かなる海洋に覆われていた頃、天から巨大な鉾が飛来し、海中に深々と突き刺さった。
原始的な信仰では、これを天人の降臨と同一視する向きもあるが、その後の文明の教授などを考えると矛盾点が多い。現在では、天人以上に実在性の疑われる説話である。
その鉾がいま目の前にあった。
「まあ、
まるで思考を見透かしたかのようにミストリアが誘う。導かれるままに足を踏み出し、伸ばした手がその鉾に触れた瞬間、周囲の景色が揺れるように歪み、全ては白へと塗り潰されていった。
『あなたに伝えなければならないことがあるわ』
失われていく視界の中で、聴覚だけがミストリアの存在を知覚していた。しかし、暴力的なまでの
そして、垣間見ることとなる。歴史の裏に隠された天人と地姫の真実を。長きに
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