第三章 9-1
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「これより
教都中央部には、シャーキヤが創建したとされる歴史的建造物がある。かつて人々に教義を説き、弟子たちと共に修行に精進したそこは
時代が移り変わるに連れて、より大きく、より壮麗な寺院が
その精舎に今、高僧やクシャトリヤが一堂に会していた。今回の主題は後任の座長の選定であり、既に結果は見えているのだが、皆どこか浮き足立ったように場内は騒然としていた。
それも無理からぬことであろう。この場に集った者たちの本懐、それは
王国から
教国は
それだけに天人地姫の動向は一大関心事であったのだが、待てど暮らせどケンモン関からの報告はなく、既に教都に
故に、それが真実であると知れ渡ったとき、誰もがダイバ老師に
過去には拝謁を賜ることなく、霊峰タカチホに御入山あそばされたこともあり、その年の教国民の落胆ぶりたるや、今でも悪夢として語り継がれているほどである。
そして、殊勲者たる老師の先導のもと、壇上に
「いと信心深き教国の民よ。今後とも、我が
その瞬間、御姿が目も眩むような激しい光に包まれた。その神聖なる光景を目の当たりにして、誰もが
壇上には男がいた。見慣れぬ年若き男だ。身に付けているものは神官衣であり、それは先ほどのものと酷似していた。
その男は動揺した様子で何かを繰り返し唱えていたが、それ以上は何らの変化も起こることはなく、次には
誰もが目前の光景を受認できずにいた。やがて、騒然とした場内からは老師に説明を求める声が噴出した。しかし、
そのとき、
「騙されているのは貴様らの方だ! あれは断じて、我らヌーナの地姫などではない!」
狂気を孕んだダイバ老師の
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