第4話 まだ、拓海くんに裸を見せるのは恥ずかしいもの
本日は全校生徒による校内清掃の日。
1、2限を掃除の時間に当て、各クラス、割り振られた掃除場所を掃除する。
俺たち生徒会役員は生徒会室の掃除と蔵の掃除を担当することとなる。
「生徒会室の掃除はこんなもんだろ」
「えぇ、去年の生徒会役員が先月掃除してたから、そこまで汚れてなかったわね」
俺は雪野先輩の言葉に頷く。
「よし!じゃあ、生徒会室の掃除はこれくらいにして、みんなが掃除しているか確認しつつ蔵に向かうぞ」
俺たちは生徒会室の掃除を終了し、遠回りしながら蔵に向かう。
その際…
「やっぱり、雪野先輩ってキレイだよな」
「俺は秋風さんだな。あのボーイッシュな感じがいい」
「いやいや、絶対桜井ちゃんでしょ。背が小さくてかわいいじゃん。しかも巨乳」
等々、俺の後ろにいる3人の美少女を絶賛する声が聞こえてくる。
それと同時に…
「やっぱり、夏凪会長ってあの3人を顔で選んだのかな?」
「俺はそう睨んでる。生徒会室で美少女ハーレムを味わいたかったんだろう」
「あー、やっぱりそうなんだ。会長って顔はカッコいいんだけどなぁ。ちょっと残念」
との言葉が聞こえてくる。
(いや、違うよ?顔で役員を選んだわけじゃないよ?なぜか生徒会役員になりたい人が3人しかいなかったんだよ?)
俺は心の中で説明する。
すると…
「セーンパイ!ウチらのこと、顔で選んだって言われてますね!あ、でも、ウチはそんなセンパイじゃないって信じてますから!」
「そうだな。アタシも拓海はそんな奴じゃないって思ってるぞ」
「えぇ、周りの人たちが勝手に思ってるだけだわ」
「みんな……」
俺は3人の気遣いに嬉しくなる。
「そうだな。俺は3人が信じてくれてるだけで十分だ。みんなありがとう」
俺は3人に感謝を伝える。
「いえいえ、どういたしまして!」
春菜ちゃんが代表して返答してくれる。
それを聞き、俺は上機嫌で蔵に向かった。
その後ろで…
「やっぱり、センパイってチョロいですね」
「あぁ、考えてることが手に取るようにわかるからな」
「ふふっ、やっぱり拓海くんは面白いわね」
そんな会話を聞き逃していた。
蔵に到着する。
ここは物置として使うこととなっており、段ボールや、いらなくなった物が置かれている。
俺は電気をつけて明るくし、3人に声をかける。
「さて、さっそく始めるか」
「えぇ、でも電気がついてて明るいから暗くしてもらってもいいかしら?まだ、拓海くんに裸を見せるのは恥ずかしいもの」
「掃除を始めるんだよ!」
「あら、てっきり薄暗い蔵の中で4Pを……」
「しねぇよ!」
俺は雪野先輩の会話を無理やり切り上げて掃除を始める。
俺が無理やり切り上げたことで、3人も掃除を始める。
しばらくする4人で手分けして掃除をしていると…
「ねぇ、拓海くん。少し手伝ってもらってもいいかしら?」
雪野先輩から声がかかる。
「この上にある段ボールを取りたいのだけど、届かなくて。手伝ってくれるかしら?」
「いいですよ。どうしましょうか?」
「私がこの脚立を使って段ボールを取るから、拓海くんは脚立を抑えてて」
「そんなの俺が登って取りますよ」
「そうお願いしたいのだけど、脚立がかなり不安定だから、しっかり抑えないと危ないと思うの。私が抑えると力不足で拓海くんに怪我をさせてしまうと思ったから…」
「なるほど、わかりました!俺に任せてください!」
「えぇ、頼んだわよ」
俺は脚立を抑え、雪野先輩が脚立を登る。
一段登ると…
「あ、拓海くん。私の下着が見たかったら、私が登ってる時に上を向いてもいいわよ」
「み、見ませんから!」
「ふふっ、そうよね。さすが拓海くんだわ」
クスクスと笑いながら登る先輩。
(くそぅ!雪野先輩はキレイなんだから、そんなこと言われると見てしまいたくなるんだけど!)
そんなことを思いながら鋼の意志で上を向かずに我慢する。
すると…
「う〜、少し重いわね」
上から苦戦している声が聞こえてくる。
「俺が変わりましょうか?」
「いえ、もうちょっとで……よし!取れたわ!」
「じゃあ、俺が段ボールを受け取ります」
「えぇ、お願いするわ」
俺は出来るだけ上を見ずに受け取る。
そして、無事に先輩が脚立から降りる。
「ありがとう、拓海くん」
「いえ、これくらい大したことありませんよ」
「ふふっ、さすが男の子ね。ご褒美に私のスカートをめくってもいいわよ。私、動かないから」
「そ、そんなのしません……あ、ちょっと動かないでください」
「え?」
俺は戸惑っている先輩に近づく。
「ま、待って!さ、さっきの冗談で……わ、私、今日は拓海くんに見せられるような下着じゃなくて……だから、別の日に……」
なにやら慌て始める先輩。
「先輩、さっき動かないって言いましたよね?」
「は、はい……」
先輩は俺の言葉を聞いて慌てるのをやめて顔を赤くし、目をつぶる。
俺は先輩の髪の毛を触り…
「もう大丈夫ですよ!髪の毛についてたゴミは取りましたので!」
「ふぇ?」
目をつぶっていた先輩がとぼけた表情となる。
「だから、先輩の髪の毛についていたゴミはとりましたので……」
俺が説明している途中…
「はぁ」
ため息をつかれる。
「ど、どうしましたか!?」
「いえ、さっきまでの私を殴ってやりたくなったわ」
「?」
(なんだったんだろ?)
俺は先輩の態度が気になったが、詳しく詮索するのをやめた。
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