設定および用語の紹介・その1
第42話 劇中に登場したロボット兵器(1)
資源も人口も漸減しつつあるこの世界では、単体の兵器に多くの機能を持たせざるを得なくなった。大規模なエアランドバトルなどはもはや望みようがなく、戦闘は突出した個人とその搭乗する高性能兵器によって左右されるのだ。
時代の要請によって確立したそのような需要に応える
以下に、ここまでの物語で登場し、様々な役どころを演じたメカを紹介する。
■モーターグリフ(Motorgriff) :
車載可能レベルにコンパクト化された高性能燃料電池によって稼働する、全高10メートル前後のロボット兵器。
陸戦兵器と航空兵器の能力を兼ね備える事から神話上の幻獣「グリフォン(Griffon)」になぞらえて「
各企業の執行部隊や高ランクの自由傭兵が使用し、この時代における軍事力のシンボル的存在となっている。自由傭兵が「グライフ」と呼ばれる所以でもある。本来はパーツ組み換えで戦域に応じた装備を付与し、必要な性能を実現することができるが、多くはメーカーごとに特定のパーツを組み合わせた「購入プラン」に基づいて提供、使用される。
*劇中に登場済みの「購入プラン」
【
●ランベルト
攻走守のバランスが取れた、手堅く無難な構成の購入プラン。長距離の飛行はできないが、戦場で十分な機動性を発揮するヒット商品。
複数の企業が採用するほか、自由傭兵にも愛用者が多い。「とりあえずランベルト」というのが新人グライフの常道。武装は30mmガトリング砲など実弾系が充実している。
●モルワイデ
ランベルトとコンポーネントの70%ほどが共通ながら、大型
軽量化のため武装としてフッ化重水素を燃料=弾丸として使用するレーザーライフルを使用する。なお
劇中では傭兵ランキング6位の男、ゴルトバッハがこの機体でギムナンの次期採用機種選定コンペ会場を襲ったりした。実は装甲が割と紙。
●メルカトル
「モーターグリフ」というコンセプトの黎明期、戦車兵から転向した搭乗者向けに提案された、無限軌道式の足回りを持つ重装甲大火力の購入プラン。
人型のような機動性は望むべくもないため、胴部中枢パーツは専用の極めて頑丈なものが使用される。
基本構成では両腕が戦車砲塔のような
●メイトランド
ランベルトの一つ前にあたる旧式機。特性はランベルトにほぼ類似し、性能は全体的に一回り落としたような数字にまとまっている。腰部後ろに面積の大きな装甲パーツがついていたらしいが詳細はいまだ不明。
【イリディセント】
●スカルハウンド
名前のみ最新話で登場。
イリディセント社はバイオ系の製品にシェアを持つ生化学企業だが、何か特有の技術が使われているのだろうか……?
劇中ではこの脚部が、発掘品を補完する形で「
【ウォーリック・シェアード・アーモリー】
●ネオンドール
レダ専用のカスタム機。
スリット状の集合スラスターを胴部中枢パーツの背面に持ち、人型でありながら 航空機並みの飛行能力と高機動戦闘を実現している。
基本的にはワンオフのハイエンド機であるが、恐らくベースとなった購入プランが存在する筈である。
主武装は手持ち式の40mm機関砲。レダはこれを基本的に三点バーストモードで使用する。
■トレッド・リグ(tread_rig)
主に二足歩行を移動手段とする重機由来の汎用メカ。多くは限られた固定武装を具え、安価で素人でも使いやすい。
大きさはさまざまで、なかには航空機めいたものもある。都市の警備や拠点防衛などに配備され、時には野盗やテロリストが装備していることもある。
その辺の戦場跡からスクラップ化したパーツを拾ってきて作ることも可能だが、正規品の三割程度でも性能があればよい方である。棺桶。
*劇中で登場済みのトレッド・リグ(作業用リグも本項に含む)
【テックカワサキ】
●クグツ(
劇中に先立つ混乱期、各企業が地下都市を築く際に大量納入された、開放型コクピットの作業用機体。当時のクレーンや各種工具などはこの機体のマニュピレーターやサイズに合わせた規格となっており、現在まで作業用重機としてはデファクトスタンダード。各企業やその
●タタラ
構成コンポーネントの80%を上記のクグツと共有するスタンダードな戦闘用トレッド・リグ。重装甲のためややアンダーパワーだが、正規品であれば侮れない性能を発揮する。手持ち式の盾を追加装備することもありこれは30mm機関砲に抗堪する防御力を発揮する。また、このシリーズの電源はモーターグリフのものと共通規格の燃料電池である。
武装として90mmの
野盗がこの機体を使用していることも多々あるが、その多くはスクラップをクグツの部品で補完した信頼性の低い機体となっている。
●ドウジ
タタラを軽量・高機動化したコンセプトの新鋭機。ギムナン市の次期採用機種選定コンペに送りこまれたが……
ARゴーグルと有線で連動するコクピットとある程度の戦術判断をサポートする管制AIを持つ。主武装としては20mmセミオートライフルと垂直発射ミサイルを装備。他にパージして投擲可能な指向性爆薬仕込みの追加装甲モジュール、高周波ブレード「KODZUKA」など、先進的な装備をそろえている。また、脚部にはホバージェットノズルを具え、二次元的な限定されたものではあるが、高速移動が行える。
所詮はトレッド・リグではあるが、高性能を買われてめでたくギムナン市の次期採用機種に選ばれた。
●ケイビシ
サルワタリたちが回収した野盗のタタラ残骸をもとに、テックカワサキから部品の供与を受け、ドウジの先進機能を一部取り入れて作られた再生&カスタム機体。
メーカーの命名法則からすると「検非違使」にちなんだ名前と思われるが、微妙な誤伝によって「ケイビシ」と名付けられたようだ。
主武装はドウジと共通の20mmセミオート・ライフル。これにタタラ用の盾を小型化したものと、高周波ブレード「KODZUKA」を標準装備。バランスの取れた性能でサルワタリの当面の愛機となっている。
【ウォーリック・シェアード・アーモリー】
●センチネル
警備用としてごく安価に作られた簡易型のトレッド・リグ。逆関節型の脚部と戦闘ヘリを彷彿させる中枢ブロックをもち、コクピット下の機体前面にジンバル式に搭載された30mm機関砲を一対二門装備している。火力だけはモーターリグの関節部を破壊できるレベル。ただし、機体容積に余裕がないため搭載弾数が少なく、継戦能力を欠いている。
●センテンス
センチネルの設計を受け継ぎつつ、一回り大きく作られた複座型。前面の車体銃の他に、射角を大きくとれる
ギムナン市長ジェルソミナ・ハーケンは現役の傭兵時代、妹レダと共にこの機体で街を守り、また出張での任務をこなしていた。現在もその存在は周辺の野盗集団に警戒されている。
●スピアヘッド
次期採用機種選定コンペにウォーリック社が急遽まとめ上げて送りこんだ、最新型の重装リグ。
センテンスの設計を基本に機体前面の装甲強化、脚部の衝撃吸収性能の向上、主武装を多目的グレネードランチャーに置き換えるという強化を行い、ダメ押しに機体背面には緊急加速用のスラスターを追加されている。その真価はコンペでは発揮されなかったが、正しく使われれば突撃機として猛威を振るうと予想される。
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