第50話 奪還作戦を実行するハーレム(前)

「見つけたよ! ちーくん、というか桃郷凛夏もものさとりんかが映ってる監視カメラの映像!」


「おぉ!!!!!! つち先輩すごい!」


「やったね! お手柄だよ、玲有れいあちゃん!」


「ナイス、玲有れいあさん! それで、どのあたりの監視カメラに映ってたの?」



 ビデオレターが送られてきて、改めてちーくんの捜索を始めたのが10月の頭。

 今は早くも10月も3週目に差し掛かろうとしてる。


 ついこの間、佳音かねさんの誕生日がきて、ちーくんに祝ってもらえるはずだったのにってめちゃくちゃ悔しがってた。

 ちなみに模久もくさんに至っては、ちーくんがいなくなってすぐのころに誕生日を迎えてたから、まだ失踪も確定してなくて、それはそれで超ショックを受けてたのを思い出した。


 なにはともあれ、おそらく外に出してもらえずに監禁されているであろうちーくんじゃなくて、桃郷凛夏の足取りを追うように動き出して3週間。

 みんなそれぞれが自分の持てる力を総動員して探してきたけど、これまではまだなんの足取りもつかめていなかった。


 そんな中で見つけた私の功績はなかなかのものなんじゃない?


 といっても、私も人の力を借りてなんとかしたんだけどね。


 もともと、私はあんまり知り合いが多いわけじゃないけど、高校時代にちーくんと一緒にやってた部活で助けた人たちとか、知り合った人たちにお願いして知火牙くんがいそうな場所の監視カメラをシラミツブシに調べてもらった。

 そして、とうとう昨日、桃郷凛夏らしき人物を見つけたわけだ。


 その見つけた場所っていうのが......。


「うん、ちょっと離れたとこにある裏系の泌尿器外科に出入りしてたとこっぽいね」


「ひ、泌尿器外科? なんでそんなとこに? ............もしかして、チカとヤりすぎてチカのアソコがとうとうおかしくなっちゃったのか!?」



 模久さん......相変わらず妄想が激しいね。

 けど私はそれはないと思ってる。


 私のその意見は、佳音さんが代弁してくれた。


「それは......ないんじゃないかな? 知火牙ちかげくんはいつもあたしらと毎日ヤッてても問題なかったアソコの持ち主だろ? たった1人とやっただけでダメになるようなヤワなナニじゃないと思うけど」


「うん、私もそう思う。もちろんクスリとか使われてたみたいだし、その可能性もなくはないけど、もしそうだとしたら、裏の病院なんて使わずにちゃんとしたとこに行くと思う。だから、私としては別の可能性を考えてる」


「......もしかして..................」



 ......三頭みずさんはわかったみたいだね。さすが長年ストーカーを続けただけあって、ムダに洞察力高いね。


「桃郷凛夏は、動画の中で『赤ちゃんは一生いらない』って感じのこと言ってた。もしそれが本気だとしたら、ボクの知火牙の............子孫を残す機能を切除しに行くつもりなんじゃ......」


「三頭さんのじゃないけどね? うん、私もその可能性が高いと思ってる。裏の病院って言っても、この街だと結構有名らしいんだよね。なんでも、旦那さんの浮気を心配した奥様方がこの病院で旦那さんのパイプカット手術をすることが多いんだってさ」


「そ、そんな......。それじゃあもしかしてチカはもう藍朱に赤ちゃん孕ませられない身体ってこと......?」



 模久さん、わかるよその気持ち。

 でも絶望するのはまだ早い。


「模久さんのでもないからね? ううん、確実ってわけじゃないけど、ちーくんはまだ切られてないと思う。この映像はつい一昨日のものみたいなの。このときはちーくんを連れずに1人で来院してたみたいだし、それ以降の映像にもまだちーくんが来た形跡はない。だから、まだ。だと思う......」


「そっ............か。うん、でもその可能性に賭けるしかないよね。けど、どっちにしても急がないと、あたしの知火牙くんが無残にもパイプカットされちゃうかもしれない............。いや、これはもしかしてチャンス?」



 うんうん、佳音さん、私もチャンスだとそう思う。


「あ、そうか。その病院の近くで張ってれば、チカを連れてきた桃郷凛夏を捕まえられる可能性があるってことか!」


「だね。私たちが現状とれる作戦の中で、一番可能性が高いやり方だと思う。もしかしたら別の場所にって可能性もあるから、捜索は続けるべきだと思うけど、まずはその線で張り込みをするのがいいんじゃないかな」



 うん、みんな納得してくれたみたいだね。

 ちーくんを取り戻せる可能性を感じて、みんなのテンションも高まってるみたい。


「それじゃあ私が責任持って病院の近くで張り込んでおくから、みんなは引き続き捜索をお願いできる?」









「「「は?」」」

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