ニキビ治療と美容液!

「・・・。」

「お嬢様。」

「だ、大丈夫よアロワ。」

 コブフレイ伯爵令嬢、ロノカ・コブフレイは不安げにアロワへ答える。


「ロノカ様、チハル王女殿下がお戻りになりました。」

「はいぃ!!」

 ロノカは思わず立ち上がり返事を返す、すると扉が開き千春が部屋に入って来た。


「あ、あなたがロノカちゃん?」

「ちゃん!?はい!ロノカ・コブフレイと申します!」

 ロノカは必死に答える、千春は微笑み顔を見る。


「うん、ちょっとそこに座ろうかぁ。」

 ソファーに促す千春、後ろからは頼子達がぞろぞろと、そしてその後ろからフランシス、ヤーテ、テールキの3人も入って来る。


「ロノカ、ごきげんよう。」

「フランシス!これはどういう!?・・・こと?」

「落ち着いて、話をしましょうか。」

 フランシスは優しく答えソファーに座る。


「ヨリ、どう?」

「うん、少し潰してるのと洗いすぎだろうね、カサカサになっちゃってる。」

 頼子はロノカの顔を見ながら話す、ロノカは恥ずかしいのか泣きそうになっていた。


「治療法大丈夫?」

「うん、クレンジングと保水だね、取り敢えず現状回復するから日本の使うよ、あとはアレと千春の魔法で回復させて、その後のケアの説明だね。」

 頼子はそう言うと影からいくつかスキンケア用品を取り出しテーブルに並べる。


「いっぱいあるね。」

「私も気を抜いたら出来るからねー。」

「お年頃だもんね。」

「千春はあんまり出来ないよね。」

「・・・一応気を付けてるからね?」

「ウチも出来るんだよねー。」

「私もー、でもこっち来てあんまり出来ないな。」

「そう言えば、なんでだろ?」

「食事?」

 千春と頼子の話を聞き美桜達も話し始める。


「んじゃ取り敢えずクレンジングするからお風呂場行こうか。」

 頼子はスキンケア用品を手に取り浴室にロノカを促す。


「あの!?顔を洗うのですか?」

「そうだよー、その化粧も一度落とすから。」

 ニキビを隠すように化粧をしているロノカを見る。


「スッピンは恥ずかしいかな。」

「いや、ニキビを見られるのに抵抗があるんだよね?」

「・・・はい。」

「ま、大丈夫だから行こうか。」

 頼子はそう言うとロノカを連れ浴室に、千春、そしてフランシス達も一緒に移動する。


「それじゃ濡れるから服を脱いでもらおうかな。」

「!?」

「ぬれちゃうしタオル巻いてたら良いから、女の子しか居ないし大丈夫だよー♪」

 頼子はロノカを脱衣所に押し込み服を脱がせる、そして浴室のマッサージ台に寝させる。


「プロじゃないから勘弁してねー。」

「・・・はいっ!」

 覚悟を決めたロノカ、そして心配そうに見ている侍女のアロワ、頼子はクスッと笑みを浮かべロノカの化粧を落としていく。


「うん、この化粧も原因の一つだね、ミオ、お母さん達に連絡してもらえる?」

「いいよーん、なんて言う?」

「ニキビ対策するからそれに合う化粧品ヨロって。」

「りょ!」

 頼子は化粧を落とすとニキビ治療用のクレンジング用品を使い始める。


「ヨリ、アレってコレでしょ?」

「うん、まだあんまり出回って無いからねぇ。」

 千春が取り出したのは精霊食いと言われるスライムから作られた化粧水だ。


「これ希釈率は?」

「げ・ん・え・き。」

「うわぁお、倍に薄めよ。」

「ほーい、サフィー水魔法お願い。」

「はい。」

 千春が洗面器に溶液を入れると同じ量の水をサフィーナが作り出す。


「千春、洗浄と殺菌は終わったから回復魔法良い?」

「おっけー。」

 千春は寝ているロノカの顔の上に手を広げる、そして。


「・・・・(ニキビ跡戻れ~)ヒール!」

 千春の魔法でロノカの顔にあるニキビで赤く腫れた所やニキビ跡がみるみる消える。


「いいね~、サフィーちゃん。」

「はい。」

 サフィーナは洗面器を横に置くと頼子は手に溶液を掬い顔に塗っていく。


「凄い・・・。」

 横で見ていたフランシスが声を漏らす。


「お嬢様・・・。」

 同じく横で見ていた侍女のアロワは目を潤ませながら呟く。


「この艶は魔法で出ないからねぇ。」

「ほんと凄いわスライム美容液。」

 処置が終わり溶液を拭きとる頼子、そして濡れた所はサフィーナが乾かす。


「はい、ロノカちゃん終わったよー。」

 頼子が言うと目を開けるロノカ、そして千春がアイテムボックスから手鏡を取り出しロノカに渡す。


「はい、ロノカちゃん。」

「・・・。」

 ロノカは手鏡を見て思わず顔を背ける、しかしもう一度千春を見ると手鏡を受け取り自分の顔を見る。


「!?」

 声も出せず驚くロノカ、そして目からは大粒の涙が溢れ出す。


「綺麗になったけど、問題はココからだからね?」

 頼子はロノカの背中をさすりながら話す。


「はい。」

 素直に返事をするロノカ、そして皆は応接室に戻り、ロノカはアロワと一緒に服を着替えた。



---------------------



「お待たせしました。」

 ロノカが応接室に戻ると更に人が増えていた。


「あ~ら可愛い、この子?」

 美咲は部屋に入って来たロノカを見て話しかける。


「さ、ココにいらっしゃい。」

 麗子がニコニコと笑みを浮かべロノカを呼ぶ、そして鏡台の前に座らせるとママさんズがロノカを囲む。


「ニキビが出来にくいようにするにはクレンジングのやり方を覚えるのが一番、そのやり方もだけれど、化粧も大事なの、それを教えるわね。」

 美咲が言うと麗子と智美が化粧水や化粧品を取り出す、勿論全部ジブラロールで販売している化粧品だ。


「化粧品の毛詰まりを綺麗に落とすんだけれど、洗いすぎてはダメ、あとあなたの肌荒れの原因はストレスもあるみたいなのよ。」

 ママさんズは説明しながらクレンジング方法や化粧水、そして化粧品を使い教えた。



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「ママさんズすげ~。」

「ヨリもアレ出来る?」

「ん、出来るよ。」

「マジか、ヨリ様って言おう。」

「やめれ。」

「ストレスも原因なん?」

「うん、ホルモンバランスが崩れて皮脂が過剰に分泌されるんだよ、私がソレだった。」

「あー、ストレスで肌荒れでその肌荒れでまたストレスになる負の連鎖かぁ。」

「そそ、まずは綺麗にしてから、その後は出来ない様にケアだねぇ~。」

 頼子達の話を黙って聞いているフランシス達、しかしウンウンと何度も頷く、一語一句覚える様に必死に聞いていた。



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「はい、これでナチュラルメイクの出来上がり、可愛いわよ♪」

 美咲が言うとロノカはフランシスの方を向く。


「フランシス・・・私・・・。」

 目に涙を溜めウルウルと、そして嬉しそうな笑みを作りフランシスの名を呼ぶ。


「物凄く勉強になったわ、ロノカ、これから一緒に頑張りましょうね。」

「はい!」

「私も勉強になりましたわ。」

「はい、本当に。」

 ヤーテとテールキもロノカの手を取り話す。


「ミサキ様、この化粧品は。」

「今はメグちゃんの商会で扱ってるわ。」

「メグちゃん?」

「あ、マルグリット王妃殿下の商会よ。」

「!?」

 ロノカが聞くと美咲が答える、そして商会の話を聞き驚くロノカ。


「ロノカ、商会長のローガン様にはお話出来ますわ。」

 フランシスはローガンがオーレン公爵家に来る事を知っていた。


「お母様に伝えておきます、私もその、すきんけあをしますわ、皆さんの分も購入しておきましょう。」

「あら、それなら皆の所に行くように伝えておくわよ?」

 智美はさも当たり前の様に答える。


「そうね、顧客が増えるのは嬉しいわ、それに届ける品は私達が分かってるものね。」

「よろしいのですか!?」

「えぇ、勿論♪」

 嬉しそうに答える麗子、そして治療が終わりロノカはこれでもかと言う程皆にお礼を言うとフランシス達と帰って行った。


「これはまた・・・貴族令嬢に売れまくれそうですにゃぁ。」

「売れるでしょ、ロノカちゃんの回復具合見たら驚くと思うし。」

「だねぇ、って言うかチハルの治療もスライム美容液も凄まじいね。」

「ヨリの洗顔も手慣れてたねー。」

「そりゃどんだけ自分の顔使って実験したと思ってんのよ、大変だったんだから。」

 頼子は溜息を吐きながら皆に答える、そして皆が思った通り、貴族令嬢、そして学園ではニキビ治療の話があっという間に広がり、化粧水や美容液、そして化粧品が物凄く売れる事になった。





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