才能ある絵描きがもしも突然絵を描けなくなったら。
そこから地獄が始まり、報われるまでの間のお話でした。
抉るような内容なのに、それでいて決して気持ち悪くない。むしろどこか心地よさまで感じられる。それはおそらく、自分が創作に携わる人間だからだと思います。
結末は解釈が分かれると思います。
私は現実や事実がどうあれ、真実として主人公は極彩色にまみれ、満たされ、報われたのだと思います。
明らかな解釈違いと思われる方もいらっしゃるかもしれません。冒頭に報われると書きましたが、そこもまた否と言う方もいらっしゃるでしょう。しかし私は、あれほど綺麗な涙なら、きっと勘違いじゃないと思うのです。
主人公の独白の中でのラストカット。
才能を浴びるとは、こういうことなのかもしれない。そのように思いました。