第7話 女王蜂様 真のアイドルオタクをばらす
「ま、『まいまい』だけでも感激なのに、『あかあお』までも」
「こんな至近距離で生ライブなんて、なんて奇跡!?」
のぼり坂くだり坂ま坂
「うんうん。これはもうこの狭い教室だけでやってるのはもったいないねー。みんな行っくよー」
蜂野先生が右手首をくるりと回せば、飛び出したのは先の尖った真っ黒な槍。あ、蜂の針って訳ですね。
蜂野先生、針をバトン代わりに高々と差し上げると一言「さあ、みんな、こんな狭いとこ飛び出して、校庭で生ライブだよっ」
「おおーっ」
それからは、先頭に針を持った蜂野先生、続いて、「まいまい」(粕川先生)に「あかあお」(鬼熊先生)、後は、一年八組の生徒に、見に来た他のクラスの生徒たち。
のぼり坂くだり坂ま坂
「♪どうせ生っきるなら~ 楽しいほうがいいじゃないっ やぁなこと思うより~ 楽しいことを考えよぉ~」
気が付けば、僕も一緒になって合唱してるし。
ふと思って、紗季未の方を振り向けば、楽しそうに歌ってる。うん。よかったよかった。
そしたら、あっ、視線が合った。真っ赤な顔してうつむいている。うんうん。可愛いやつめ。
◇◇◇
「はっ、蜂野先生。これは一体何の騒ぎで?」
唖然としている校長先生。
「あんらあ~。校長先生ぇ~」
満面の笑顔で答える蜂野先生。
「は・た・ら・き・か・た・か・い・か・く」
「?」
「のっ、断行ですぅ~」
「へ? ななな、なんですか~? それ?」
「あ~、もう、メンドくさいっ。校長先生も自分が一番やりたい仕事をすればいいんですぅ~」
蜂野先生が魔法のバトンならぬ針をクルリと振れば、たちまちまばゆい光に包まれて……
「わー、校長先生も変身したぁ~」
「誰? あの娘? 可愛いけど、ちょっと地味な感じ……」
「うん。あの娘……」
「のぼり坂くだり坂ま坂
「『なゆたん』こと
「すげえ。校長先生。マニアック」
「本物のアイドルオタクだっ!」
「粕川先生や鬼熊先生を超える真のアイドルオタクだっ!」
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