第54話 復帰

数週間が過ぎた平日練習の日

僕達は1年生大会の決勝リーグ

そしてその前にある新人戦に向けて必死に練習していた

僕もケガが治りチームの練習以外に毎日自主練をして遅れた分を取り返す為に必死になっていた


クラブユース選手権はケースケ達のチームがその後1点も失点する事なく圧倒的な強さで3連覇を果たし全国への切符を手にした


優勝後のインタビューでキャプテンは


『1回戦で勝てたから優勝できた。運も実力のうちと言うが僕達は運が良かった。』


と語り事実上の決勝戦だったのでは?との声が多数あった

そのおかげで練習試合の申し込みが絶えず僕達は毎週練習試合をしている



僕は復帰してから少し気になる事があった

もう足は全然痛くないのにみんな僕に遠慮してる気がした

1対1をやっても前はよく吹っ飛ばされてたけど最近はあたりが弱く感じる

僕はツカサに相談した


「なんだかみんな僕に手加減してるみたいなんだ。足も完治してもうなんともないのに。」


ジュニアの時のキャプテンだったせいかツカサはみんなの相談役になっていた

ツカサは少し呆れた感じで


「本気で言ってるのか?あいつらが手加減できる様な奴らかよ。」


えっ?どーゆー事?

僕はよく意味が分からなかった


「空、ケガしてる間何やってたんだ?」


怒られてるのかな?


「足が使えなかったから筋力トレーニングと体幹トレーニングしかやってない。」


少し不安そうに言った


「やっぱりな。体が強くなったと思ったんだ。みんなが手加減してるんじゃない。お前が強くなったんだよ。なんか背も高くなった気がするしうかうかしてると俺もヤバいな。」


僕がツカサに敵うわけないのに何言ってるんだろう?

それでもなんだか嬉しい気持ちになった


やっぱり1年生のキャプテンはツカサだ


心から思った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る