第49話 どっちだ?

試合が始まったと同時にトップの2人が走りだしすぐに詰める

僕はあまりのプレスの速さに驚いた

でも相手のパス回しも凄く速い

なかなか捕まえられない

それでもとにかく走る

もの凄い運動量だ

相手も少し焦ったのかトラップが大きくなった

シンジ君は体を入れてボールを奪いこっちの攻撃開始だ

と思ったが戻りが早い

マークも徹底していてパスも出せない

シンジ君は自分で突破しようとしたが止められてしまった


ボールを奪っては奪い返され

奪われては奪い返しの繰り返し

なんて激しい試合なんだ

僕は思わず息を飲んだ


お互い何本かシュートを撃つが綺麗には撃たせて貰えずあっさりと止められてしまう

それでもシュート君達は優勝候補相手に互角の戦いを見せ気付けば0対0のままもうすぐ前半が終わろうとしていた


そんな時シュート君にボールが渡った

スイッチが入った様に顔つきが変わるフォワードの2人

きっと前半最後の攻撃

お願いなんとか点を決めて

シュート君はどっちにパスをするんだろう?

相手ディフェンスも本当に上手い

シュンスケ君の事も見失わずしっかりとマークしている

一体どっちなんだ?

僕は真剣に見つめていた


シュート君はシンジ君を見て合図をした

そしてパス

がこれはキックフェイント

釣られたマークを置き去りにして自分で持って行った

ディフェンスは慌てて走りシュート君の前に


「危ない。ぶつかる。」


僕は大きな声を出した


「良く見てろ。」


村上コーチが真剣な顔で言った

シュート君はスピードを緩める事なく相手を上手く手でどけてまっすぐ前に

そのままゴールに向かう

相手も必死に食らいつく

そしてシュート君のユニフォームを掴んだ


「ファールだー。」


また僕は叫んだ

ユニフォームがぐーんと伸びる

シュート君は一切何も感じていないかの様に全くフォームを乱さず走って行く

ディフェンスが逆に引きずられてる様にも見えた

そしてシュート

ボールはまるで弾丸の様にゴールにまっすぐ向かいキーパーの手を弾きネットに突き刺さった

マンガみたいにネットを突き破るんじゃないかと思う程の強烈なシュートだった


「あっはっはっ。凄い体幹だ。」


村上コーチが笑ってる


僕はそんなシュート君に見とれてしまっていた

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