波の狭間に見据える未来 第5話
自宅の最寄り駅から二駅。海水浴場が近いということで夏の時期になると乗客の乗り降りが激しいこの駅は、近辺にある駅に比べると比較的に綺麗に整備されている。
改札を抜けた先では、白いノースリーブのカットソーに水色のスカートを纏った静香が立っていた。僕の姿をみつけた静香は右手をあげる。
僕は、黒いハーフパンツに白いシャツで身を包んだ。上半身の服はこの日の為に新しく卸したこともあり、袖を通すとパリッとした質感が肌に触れた。心做しか気持ちもさっぱりとする。
「おはよう。」
「あれ、海月は?」
「なんかちょっと遅れるみたいで先に行ってって言ってた。」
今日は夏休みの初日でもあり、拓馬の初出勤の日でもある。僕たちは応援がてら三人で久しぶりに海に行こうと前日に予定を立てた。海月とはいつもの駅のホームで待ちあわせていたが、時間になっても姿を現さないので、僕が電話を掛けると寝坊したうえに用意に時間がかかっているから先に行って欲しいとのことだった。
「じゃあ先に行こっか!海とか久しぶりだから楽しみ過ぎるんだけど!」
子供みたいにあどけない笑みを溢す静香をみて僕も自然と同じ表情を浮かべた。
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