第63話
避けてるだけじゃ、ヘイトは集められないだろう。
ヒットアンドアウェイでダメージを与え続ける必要が有るだろう。
と言っても回避重視で、攻撃は軽くでいいだろう。
フォーアームベアーからしたら、かすり傷以下だとしても、HPが有るのにダメージを受けるのは、不気味だろうしいい感じにヘイトを稼げてる。
「グルァァァァァ」
大した攻撃力はないのに何故かダメージを与えてくる俺にブチ切れたフォーアームベアーが雄叫びを上げたと思ったら。
全身麻痺してしまったように体が硬直する。
やらかしたな〜と思った時には、フォーアームベアーの腕で頭が消し飛ばされていた。
「あぶね〜。ヒューマンスライムじゃなきゃ即死だった」
体がスライムゼリーで出来てるから、頭が消し飛んだぐらいじゃ死なない。
硬直も解けたし。結界も再展開された。
ここからはこっちのターンだ。
「勝吾下がって!」
地面から蔦が生えてきてフォーアームベアーを拘束する。ブチブチ蔦を切られているけど、どんどん蔦が生えてくるので、フォーアームベアーを拘束することに成功している。
フォーアームベアーから距離をとると、緑色をした三日月状の刃が暴れ回る竜巻がフォーアームベアーを巻き込むように発生する。
これは精霊の攻撃だな。
「更にオマケ」
沙希から竜巻に向かって火球が飛んでいって。
火球が竜巻に触れた瞬間、竜巻が勢い良く燃え上がる。
雷も1点集中で落ち続けてるし、かなりダメージを稼げてる筈。
「グルァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!」
HPを盾に無理やり竜巻から出てくるかな?と予想していたけど。
竜巻から出てくることはなく。想像以上にダメージを与えられてる?と思った瞬間。
竜巻の中からフォーアームベアーの雄叫びが聞こえたと思ったら、竜巻が掻き消えた。
敵を硬直させるだけじゃなくて、魔法を掻き消したりもできるのか、あの雄叫び。
けど、直ぐに雄叫びを上げなかったということは連続で使うことは出来ない可能性が高い。
毛皮が少し焦げてるので、HPは既にゼロのはず。
フォーアームベアーの近くに埋めてある刻印地雷を発動させる。
結果左足を削ることに成功する。
(おまたせしました)
結界内の魔物の殲滅が終わった。魔導知能が後ろからモンスターマンティスの大鎌を使って背中に大きな傷をつける。
分体を使った数の暴力もできるし、気を抜くことは出来ないけど、攻撃を続けることによってフォーアームベアーの討伐に成功する。
「何とかなったか」
攻撃力という点ではモンスターマンティスの方が高かったな。
(マスター。説明をお願いします)
フォーアームベアーが、軽いジャブをくらっただけで、俺に狙いを定めた理由は、新しい刻印を完成させて〈鎧通し〉ってのを付与できるようになったからだね。
ゲイ・ボルグの防御貫通機能だけを付与できるようになれば、かなりの戦力アップになるとは言われていたから。
それを完成させた。
現代ルーン文字でゲイ・ボルグ再現できるようにしたのは俺だし。
どの部分が防御貫通の効果を発動させてるのかって事自体は既にわかっている。
と言ってもその部分単体で、防御貫通の効果を付与するのは無理だったので、他の刻印に追加する形で防御貫通の効果を付与できないか試した結果。
衝撃の刻印に付け足すことで、鎧通しと言うHPを無視して、相手の体内に衝撃を流し込み内部からダメージを与えることができる。と言う効果を持った新しい効果を付与できるようになった。
(それ。時間がかかると言っていませんでした?)
俺もそう思ってたんだけどね。なんかできちゃった。
「それより、早くカードを集めて移動しよ?Bランクの魔物が沢山いる訳では無いけど。何体かいるってことは分かったんだし。連戦になる前に移動するべき」
確かに。まだBランクの魔物はいるだろうし。同じところに留まるのはまずいか。
辺りに散らばっているカードを急いで回収する回収。
「昨日と比べてまだ余裕があるし。今すぐテントに帰るんじゃなくて、ここで魔物を待ち構えてレベル上げするのはどうかな?」
昨日と違って、まだ神代ルーン魔法を使ってないし、罠もまだ残ってるから。
まだ、Bランクの魔物が襲ってきても、討伐もしくは逃げる時間を稼ぐぐらいはできるだろう。
早いところレベルを上げないと、何時までたってもこの島の探索が出来ないし。
「勝吾は基本、分体に戦闘を任せられるから。余裕だろうけど。あのレベルの戦闘をした後に、まだ戦闘を続けるのは無理。疲れから来る判断ミスで、大怪我しかねない」
確かに、この後の魔物狩りは分体に任せるつもりだった。
直接戦闘しないと、経験値が貰えない2人からしたら、引き続き戦闘を続けるのは難しいか。
「時間はいっぱい有るんだし。毎日ここに来て、少しづつ確実にレベルを上げていけばいい」
それもそうか。
調子に乗ってAランクの魔物が現れたりしたら大惨事だもんな。
BランクとCランクの強さの上昇幅を考えると。
Aランクの魔物はBランクの魔物の軽く数倍の強さはあると思って良い。
流石に今、遭遇したら手も足も出ないだろうからな。
Bランクの魔物も少ないけど、複数いると分かったわけだし。
Aランクの魔物がいる可能性を否定できない。
慎重なぐらいが丁度良いか。
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