第十四話 大衆食堂での落ち着いた食事

『美味しい♪』


『料理の味を気に入ってもらえたようですね。ソフィー♪』


『うん。フローリアンお兄ちゃん。とっても美味しい♪』


安全な帝国自由都市であるリューベックに全員無事に辿り着けましたので、朝食の際にソフィーと交わした約束を守る意味もあり、荷物を学生寮シュトゥデンテン・ヴォーンハイムの部屋に置いて、お手頃価格で美味しい料理を提供している大衆食堂に四人で食事に来ています。


『フローリアンはよくこのお店で食べるの?』


コレットの問いに対して私は軽く首を横に振りまして。


『一人の時は叡智ヴァイスハイト学園の学生食堂で食事をする事が多いです。高利貸しからお金を借りていましたから、学生向けに安価な食事を提供してくれる学生食堂をよく利用しています』


『一人の時という事は、他の方と食事をする際にこのお店を利用されているのですか?。フローリアンさん』


まだ幼い六歳のソフィーの口の周りを優しく拭きながら訊ねられたエミリーさんの疑問に頷きまして。


『学友の中にはリューベック出身の学生も居まして、講義が終わった後に誘われた場合は断るのも悪いですから』


貴族諸侯の皆様方が領主として治められる領地の出身では無いリューベック生まれの学友は、身分制度を気にしない明るく前向きな性格をしている人物が多いと感じます。

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