僕と『義妹』のはじめて

結論から言えば、僕は折れてしまった。

欲望に屈したとも言う。

ユキナの誘惑はあの後も僕が陥落するまで続いたが、僕が屈したあとで正気に戻ったユキナは大いに赤面し恥ずかしがっていた。


欲望に屈したとはいえ、じゃあ早速今からヤりましょうとはならなかった。

なにせまだ明るい時間帯だったしユキナは恥じらっている真っ最中だ。

僕らは夜までの時間をそれはそわそわと落ち着きなく過ごした。


夕食後、僕は財布を片手に立ち上がる。

ナニとは言わないが買わなくてはならないものがあるのだ。


「ど、どこいくの?」

「あー、コンビニ。買わなきゃいけないものがあるから」


何を買うのか分かったのだろう。ユキナは頬を染めて挙動不審になる。


「あ、わ、一緒に行くっ!」

「え、恥ずかしくない?」

「行くもん」


仕方ないので二人手を繋いでコンビニへ。

特に理由があるわけでは決してないのだが、最寄りの店よりも二つ離れた普段使わないコンビニに入り必要なものを買って帰る。


「買っちゃったね……」

「ああ……やっぱ恥ずかしかったな」

「だね……」


買ったのはゴムとスポドリ。

女の子と手を繋いでコレ買って帰るとか、このあとセックスしますって宣言してるようなもんだな。

滅茶苦茶恥ずかしい。


家に帰って交代で風呂にはいる。

先に風呂から出た僕はリビングのソファに腰かけ、テレビをつけて見るでもなくぼんやりと眺める。


「お兄ちゃん……出たよ」

「あー、うん。……………………隣座る?」

「……うん」


僕の隣に、いつもよりほんの少し距離を空けて腰をおろす。

会話もなく、流行りの芸人が面白い事でも言ったのかテレビの向こうの笑い声がリビングに響く。


「こ、この番組おもしろいね……」

「そ、そうだな……あ」

「終わっちゃったね……」


二人見つめ合う。

どちらからともなくそっとキスを交わす。二度。三度。何度も。何度も。

手だけでリモコンを操作して雑音を消せば、それだけで二人の世界が出来上がる。

何度もキスを重ねれば、そのうちにもどかしくなって彼女の唇を割り裂くように舌をいれる。

最初は遠慮がちに、それから徐々に激しく彼女も舌を絡めてきて、いつの間にか二人で互いを貪りあっていた。


「ユキナ……部屋行こう」

「……うん」




二人でベッドに腰掛ける。

喉はカラカラに乾き、心臓の鼓動がうるさく鳴り響いている。

緊張に質量があれば僕らは二人揃ってぺちゃんこに押し潰されていただろう。


「えっと、ぬ、脱ぐね……」


震える手でパジャマのボタンを外すユキナ。

パジャマの上下を、ブラを、ショーツを取り去っていく。

露わになる彼女の裸に目が離せない。


「…………綺麗だ」

「あんまりじっと見つめられたら恥ずかしいよ……」


彼女の陶器のように白い肌が胸元まで朱に染まる。

潤んだ青い目を少し伏せ、それでも隠すことなくその体を僕の視線に晒している。

気付けば乱暴に服を脱ぎ捨てて、僕は彼女の形のよい胸にそっと手を伸ばしていた。


「…………ぁ」


微かに漏れる甘い声。

そのままそっと覆いかぶさるように押し倒した。

至近距離で、目と目が合う。


「嬉しい。嬉しいよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんに触れられてユキナの全部が喜んでるの。もっと、もっと触って。ユキナをお兄ちゃんだけのモノにして」


もう僕の我慢は限界だった。

唇を貪った。胸を弄んだ。身体のすべてをまさぐり、肌に舌を這わせ、そして――――。


僕らは激しく求めあい、果てるまで何度も何度も愛を囁き合った。




荒くなった息を整えしっかりと水分補給した僕らは裸のまま抱き合い、事後の余韻を楽しんでいた。

ユキナの美しいブロンドの髪を撫でてみると、彼女は首筋にキスを返していたずらっぽく笑う。

さっき役目を終えたばかりの僕のソレに元気が戻ってしまう。


「お兄ちゃんまだしたいの?」

「誰かさんのいたずらに反応しちゃっただけ。今はこのままがいい」


ギュッと抱きしめると彼女は幸せいっぱいに輝く笑顔を見せてくれる。


「お兄ちゃんだ~い好きっ♪」




こうして僕らは少しだけ大人になった。

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