第6話 戦力増強!?
「ど、どうなってんだよ、これ……」
男子生徒の1人が呟くが誰も答えない。先程から連続で起こる超常現象の数々に生徒達が硬直。泣いている女子生徒もいる。
誰もが目の前の異常事態をボーッと傍観することしか出来ないでいると、そんな彼等の目の前を黒いフードを深く被ったアクトが通り抜けていき男子の腕に無言でシールを貼っていく。
「うわ!? な、何するんだよ!?」
「いつの間にかシールを貼られたぞ!?」
「っていうかアイツ誰だよ!?」
アクトの行動に皆困惑する。
「男達よ」
シールを貼り終わると、アクトは皆に背を向けまた前に立つ。
「突然の事態に戸惑ったか?」
「え……」
「平穏が突然、非日常に変わった。俺はいずれこうなることを予測し、脳内シミュレーションをしていたから対処できた。そしてたまたま俺の眠っていた能力が覚醒し反撃が出来ている。幸運という状況だ」
アクトは続ける。
「
「……」
「俺にはわかる。きっと沢山の感情が渦巻いているに違いない。それは自分の無力さを悔やむ怒りだ。それが人間の根源的力だ!」
彼は横を向き、ポケットに手を突っ込みフードの隙間から口元だけを見せた。
「運命から抗う漆黒の意志を持つ者は前へ出ろ。俺の力をくれてやる。決めろ! 運命を受け入れるのか、それとも抗うのかを!」
そしてまた指をパチンと鳴らす。
「スキルⅢ:
マスターアクトがそう言うと男子達腕が突如丸太のように大きくなる。
「うわ!? な、なだこりゃ!?」
「腕が大きく!?」
動揺する男達の中で1人、アクトよりも前に出る鼻から血を垂らす男子が歩いてきた。彼は先程猿人間に攻撃した優一の生徒、バスケ部男子だった。
「なんだかよくわからねぇけれど、やられっぱなしじゃあねぇってことだよな?」
太くなった腕、そして彼の目に闘志が燃えたぎる。それを横目で見たアクトは「ッフ」っと鼻で笑う。
「一度打ちのめされ、また立ち上がる黒く燃える貴様のその漆黒の精神――」
「お、俺も!」
「俺も俺も!」
アクトの言葉を遮り続々と男子生徒が前へ踊り出す。二人の漢達がクラスメイトの盾となり前へ出たことに感化されたのだ。
アクト更に「ッフ」と仕切り直し、勢いよく左腕を横へ振り切る。
「お前達いけ!! ゴールデンボールに反逆の拳を叩き込め!!」
「「「うおおおおおお!!」」」
「能力の応用! スキルⅢ――」
アクトが言い終わる前に腕が肥大化した男子生徒達が一斉に猿の巨大化した股間の周りを囲む。そして、四方八方から丸太を撃ち込むような重い一撃を機関銃の如く叩き込まれていく。
「ウギャアアアアアアアアア!?」
顔が青から緑色に変わっていく猿達の悲痛な叫びと共に撃沈する。
勝利した。アクト達は突然のクラス襲撃を鎮圧したのだ。
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