第190話・島への帰郷
「おお! あれが島じゃな!?」
オレ達が帝都を離れて島に戻ることにしたのは、皇帝との謁見の翌日だった。
マルク君の家のイースター商会とは取り引きをすることになって、島の場所も教えてあるから、そのうちイースター商会の空中船が島に来ることになるだろう。
それはいいんだ。いいんだよ。
「ミリー。あんまりはしゃぐと怪我するわよ」
問題は帝国のムツ〇ロウさんを、オレ達が預かることになったことか。
「ミレーユのことじゃが。しばらく預かってくれぬか」
「それはまた何故?」
「バルバドスの侍従や側近の聞き取りから、ミレーユを狙うようになった原因に、オルボアが関与してる可能性が浮上した。もしかしたら魔族の狙いも、ミレーユだったのかもしれぬ。守るにはそなたに預けるのが一番と思ってな」
実は前日の皇帝との謁見で、褒美の話や回収した邪神竜や化け物の破片の調査の結果なんかを話した後に、皇帝から頼まれちゃったんだよね。
ジョニーさんはやはり旅に戻るらしく、死神さんは一緒に行くと言ったんで、ジョニーさんと同タイプの小型戦闘機を貸した。
彼女の船は一応修理は終わったが、正直一人で使えるサイズではない。ロボット兵を貸してもいいが、もて余すのが目に見えていたので小型戦闘機を貸したんだ。
まさかミレーユ様みたいなお子様を、ジョニーさんの旅に同行させる訳にもいかないしね。
帝国内が落ち着くまでは、今しばらく何処に危険があるか分からないと言われると否定のしようがない。結局ミレーユ様を預かることになった。
ただ今後はミレーユ様にも帝国の行事に出てもらう方針らしく、パーティなんかには行かなきゃならないみたいだけど。
「つかの間の平和にならなきゃいいけど」
ジョニーさんは本腰を入れてオルボアと戦うつもりらしく、しばらくはオルボアの周辺をウロウロしてみるとのこと。
また巻き込まれそうな予感がするのは、気のせいだと思いたい。
「帝国内の調査許可が下りましたので、次はもう少し楽になるかと思います」
「例の図書館の地下か」
ああ、オレ達は報酬として財貨の他に、帝国との交易をする許可と、帝国内での調査する許可が欲しいと頼んで認められた。
帝国内には結構な遺跡やダンジョンがあるらしいし、初代皇帝が建設した帝都の図書館の地下にある謎の空間も気になってるんだよね。
このままなし崩しでオルボアと戦うよりは、きちんと準備をしたいのが本音だ。
皇帝とサミラス皇子にミレーユ様のお母さんには、どうもただの勇者の仲間じゃないのがバレてる感じだからさ。
仲間っていうより支援してるだけなんだけど、邪神竜を倒すのに宇宙艦隊使っちゃったしね。
願わくばジョニーさんが単独で解決してくれればいいけど、流石に戦闘機だけで一国と戦うのは無理だよなぁ。
それとミレーユ様のお母さんには、通信機を一つ置いてきた。
この惑星の厄介なところは、通信方法がほとんど発達してないことなんだよね。邪神竜との戦いが苦労したのも、近くのサミラス艦隊ですら通信が出来なかったことも理由の一つにあるんだ。
まだ幼いミレーユ様がお母さんと話すには通信機が必須だし、情報交換とかミレーユ様の呼び出しにも通信機は必要だからさ。
ともかく久々の帰郷だ。
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