第132話・帝都に入ろう

「おい、お前ら…… あの船は?」


「オレの船だぜ」


「……空の勇者だ」


「空の勇者?」


 準備が整ったオレ達は輸送機の迷彩バリアを解除して、帝都の門がある近くに堂々と着陸すると輸送機から降りる。


 当然ながら帝都の門の前には帝都を出入りする多くの人達が居て、この世界で見ない形の輸送機に周囲は騒然となっちゃったよ。


「ジョニーさん! お久しぶりです!」


「おう! マルクか!? 元気か!」


「はい! おかげ様で、こうして元気に商売してます!」


 こんなに目立って大丈夫かと少し不安になるが、騒然とした群衆から一人の若者が姿を見せると、ジョニーさんに声をかけてきた。


「そりゃ良かったぜ」


「ジョニーさんは帝都に何か用ですか?」


「ああ、旅の途中で知り合った奴らのお守りさ。帝都を見物したいっつうから連れてきたんだ」


「そうですか。では今夜の宿がまだ決まって無いのでしたら、よろしければ家に皆さんで来ませんか? 父もジョニーさんに一度お会いしたいと申してます」


「うーん、どうする?」


 どうやら若者はジョニーさんが前に助けた人っぽいな。


 爽やかな好青年とは彼のことを言うのだろう。


 相変わらず勇者してるのね、ジョニーさん。


「流石にこの人数では、ご迷惑をお掛けしますから」


「迷惑だなんて、そんな! 命の恩人のジョニーさんのお連れ様ならば大歓迎です!」


「なら今夜、一晩世話になっていいか?」


「はい!」


 いきなり見知らぬ若者に家に来てと言われてもさ。


 少し不安なんだがエルは反対しないようなので、ジョニーさんに任せることにした。


 というかこの人数で泊まれるって、いいとこの御坊っちゃんか?


 貴族らしくはないから貴族ではないと思うけど。


「これは?」


「ああ、犯罪歴を確認する物なんだよ。手をかざして青なら通っていいぞ」


 結局流されるまま好青年に連れられて帝都の門を潜るが、ここでこの惑星に来て初めて町の入り口で確認されたな。


 少しドキドキしたが、変に引っ掛かることはなかった。


 あれどんな仕組みなんだろう。


「凄いわね!」


「うむ。凄い賑わいじゃ!」


 ああ、うちのお嬢様姉妹を含めた村人は、みんな都会に来た田舎者そのものといった様子で興奮してる。


 特に皇女様。


 貴女は逃亡者でここは敵地のど真ん中なんですけど?


 ただ高さ十メートルはある強固な城壁と、門もまた数メートルはある大きさで圧巻の光景なのは確かだ。


 しかも門を潜るとそこは、かつての世界の東京でも見るかのような人の賑わいがある。


 こんな賑わう町というか、都市を営む帝国を相手にしなきゃいけないのか。


 戦って勝てないことはないけど、後始末考えたら面倒なんてもんじゃないね。


「行くわよ! アレックス!」


「行くのじゃ!」


 皇女様。本当に貴女のお母さんを助けに来たの、忘れてませんよね?


 ジョニーさんはジョニーさんで、好青年のマルクという人と楽しげに話してるだけだし。


 まあ、逆にこのくらいの方が正体バレないか。


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