第130話・帝都へ・そのニ

「こうして見ると姉妹に見えますね」


「二人はクリスとミリーです。外国の商人の娘ということにしますから、名前を間違えてはダメですよ」


 帝都を間近に控えたオレ達は、いよいよ帝都に入る支度をする。


 そこで一番問題になる皇女様とメイドのロマさんだけど、やはり人工皮膚と特殊光学迷彩のアイテムで、二人にはダークエルフ特有の耳と銀髪に褐色の肌を擬装することにした。


 人工皮膚のマスクや手袋で褐色の肌を隠して、髪は着色剤にて一時的に変える。


 独特な形の耳は姿を偽って見せる特殊光学迷彩アイテムによって、普通の耳に見えるようにしてある。


 触ればバレるが、触らない限りはバレないだろう。


 本当はそれだけでも大丈夫な気もするけど念のために。


 ちゃんとクリスティーナ様と皇女様が、姉妹に見えるようにした。


 二人とも平民には見えないけど姉妹にしてあるから、お忍びの貴族にでも見えるように考えてる。


「任せて!」


「わらわの姉上か。照れるのう」


「姉上じゃないわ! お姉ちゃんよ!」


「……お姉ちゃんか? ますます照れるのう」


 メアリーさんとロマさんのメイドさん達は、エルと三人で姉妹のメイドに設定してみた。


 他のオレやジュリア達に新婚さんは、二人の家の使用人という設定してみたけどみんな楽しげだ。


 ジョニーさんだけはすっかり有名人だから、雇った護衛にしたけど。


 しかしまあ、もうちょっと緊張感が欲しい気も。


 帝国の御家騒動と命を狙われてるのに、みんな緊張感無さすぎ。


 クリスティーナ様は兄弟や姉妹が居なかったらしく、役とはいえ皇女様という妹が出来て楽しそうだし、メアリーさんはそんなクリスティーナ様を微笑ましげに見てるよ。


「私達って、将来おとぎ話になるのかしら!」


「ありがたや。ありがたや」


「勇者様の手助けが出来るなんて、末代までの名誉だな」


 ああ、新婚さんと家族は、すっかりおとぎ話の登場人物になりきってる。


 確かに勇者が命を狙われたお姫様を助けて、それに協力したなんてなれば、この世界だと凄いことなんだろうね。


「そう言えばジョニーさん。いつも何処で地上に降りてるんです?」


「オレか? いつもは門の前だな」


 あとは町に入るだけなんだけど、ジョニーさんはいつも門の前で降りてるのか。


 隠す気ないみたいだし、そりゃ空の勇者様にされるよ。


「今回はどうする?」


「門の前でかまいませんよ。ジョニーさんは隠せませんし、いっそ堂々とした方が逆に疑われないでしょう」


 問題はオレ達なんだけど、エルは堂々と門の前で降りるなんて言い出したわ。


 オレ達一応逃亡中なんだけど、本当ジョニーさんは隠せないだろうね。


 出来ればこのまま静かに解決したいんだけど、騒ぎが起こりそうなのは気のせいだろうか?


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