第107話・島での生活・そのニ
休日も終わるとまた新しい一週間が始まる。
村人から漁業をしてはどうかと提案があったので、小型の船と網を用意した。
現状だと擬装ガレオン船で魚の魔物を狩ってヴェネーゼに卸してるけど、一般的な漁師は陸地から近い場所で普通の魚を捕るらしい。
「瓶詰めとか缶詰ってあります?」
「瓶詰めならばありますね。高価ですが伯爵様のお屋敷には少しありました。急なお客様をもてなすのに便利ですから」
魚は現地では煮るか焼いて食べるらしく、生食はしないみたい。
保存方法は干物が一般的でメアリーさんいわく、瓶詰めはあるが缶詰は聞いたこともないとのこと。
レトルトパックなんて、もっと無いんだろうね。
女性を中心に何か仕事が欲しいと要望があったので、瓶詰めでもしてみようか。
本当は缶詰がいいんだけど、最初はこの惑星にある瓶詰めからがいいだろう。
「司令。やはり魔物が出ました 」
「つまり一旦駆逐しても、何らかの理由で自然発生するの?」
「今のところはウサギが魔物化したようです。原因は調査中です」
それと島を最初に開拓する時に駆逐したはずの魔物が、再び島に発生した。
発見したのは森に野草を取りに行った村人で怪我はなかったが、調べてみると外から侵入した訳ではなく島の動物が魔物化したらしい。
「魔物化したウサギは捕獲しましたので、魔物化のメカニズム調査の為に要塞シルバーンに送ります」
「魔物化ね。第二王子のアレの解明に繋がるか?」
「魔物や魔法に未知のエネルギーは、基礎的な研究段階なので何とも言えないそうです」
「そうか」
「それとジョニーさんが発見した、遺跡が凄いそうです。本格的な調査チームを派遣する許可を求めてますが、如何しますか?」
「許可するか。オルボアも不気味だし」
村人いわく魔物は居て当たり前なので、魔物が発生したと聞いても特に驚きも動揺もない。
オレ達が驚いてるのを、逆に不思議そうな顔をされたくらいだ。
一応島の外から危険な魔物が来ないようにと、迎撃用の兵器と緊急時に展開するバリアは設置完了したけど、中で発生されると少し面倒になる。
村人からは危険な魔物が居ないなら、町を囲むように塀を作れば大丈夫だと頼もしい声が聞かれた。
基本的に村人が農地や森に行く場合は最低限の武装をしてるし、クリスティーナ様のような子供は大人が一緒に歩いてる。
「郷に入れば郷に従えって言うし、塀でも作るか」
町を常時バリアで包むという方法もあるが、村人は塀を求めてる以上は塀があった方が村人は安心するだろう。
ただこれで宇宙から生きた家畜を、地上に降ろすのは当分延期だな。
本当は家畜も飼いたかったんだけど、いつ魔物化するか分からないなら怖いしね。
この世界には居ない動物が、魔物化したらどうなるか分からない以上慎重に行動しなくては。
「みなさん逞しいですからね。あまり深刻に考える必要はないのかもしれません」
ただ島の外はきな臭い状況だけど、島は本当に平和なんだよね。
慎重なオレ達と違い、みんな逞しいし意欲的だし。
このまま静かにほのぼのスローライフがしたいなぁ。
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