第100話・伯爵様。ジョニーさんのことを知る
「これは凄いのう」
「これどうしたの?」
伯爵様とクリスティーナ様の葬儀はともかくとして、移住者のみんなは家の内装と引っ越しを続ける。
そんな中オレはエルと相談して、伯爵様には地下の秘匿施設のことを話すことにした。
移住者のみんなには詳しくは話してないが、移動に使った輸送艦や戦闘艦に、毎日朝に発進して夕方に戻ってくるジョニーさんのシューティングスター号も見られている。
島のアンドロイドの話だと異邦人だとほぼバレてるので、今後のことを考慮して伯爵様とは、情報を共有することにしたんだ。
とりあえず建設中の秘匿施設を見せに地下の秘匿区画に伯爵様を連れて下りたけど、真っ先に完成した地上の作戦司令室は何故か財宝の山で埋まっていた。
「申し訳ありません。ジョニーさんが砂漠にて財宝と、砂漠の地下ダンジョンになっている遺跡を発見しましたため。次々に財宝やら敵性生命体の素材やら送って来まして。倉庫の建設を後回しにした結果、置く場所がなく」
「ジョニーさんお金持ちになったな」
伯爵様はあまりの光景に唖然としちゃってるけど、犯人はジョニーさんか。
あの人最初はレーザーガン一つで旅をしてたのに。
「いえ、邪魔だから補給の代金に頂けるそうです」
「財宝が邪魔って。それに補給そんなに使ってるの?」
「普通に食料と燃料に弾薬くらいです」
「もう数百年分の代金貰ったっぽいね」
オレには財宝を見つけたのに、邪魔だからってあっさり人にあげるジョニーさんが理解できない。
「これは古代にあったと言われるムートリアのオリハルコン金貨じゃな。魔法文明が発達しておったようでの。十枚もあれば城付きの領地が貰えるぞ」
「数百年以上か。あの人は何を目指してるんだろう」
今一つ価値が分からなかったけど、伯爵様いわく大変貴重品らしい。
十枚で城付きの領地が貰える金貨が、人の背丈より高い山になってる。
「ここにあるのは砂漠に住み着いた、全長数百メートルはある巨大なワームを倒したら、中から出てきたそうです」
「それはもしやオルボアの東にある砂漠か?」
「はい。そこです」
「あのデスワームを倒す者がおったとはのう。もしや地下のダンジョンはムートリアの遺跡か?」
「現在調査中です。ジョニーさんの要請で私達の仲間が、一緒にダンジョンに入っております」
「いかんな。オルボアに知られたら厄介じゃ。あの国にムートリアの遺跡なんぞ渡したら何をするか分からんぞ」
全長数百メートルのワームって……。
しかもオルボアは第二王子を怪物にした連中だよ。
ジョニーさん、何してるんだよ。
「実はジョニーさんですが。空の勇者と言われてオルボアに狙われてます。どうもオルボアの他国での工作の邪魔をしたみたいで」
本当に勇者になってる!?
「ワームを倒した件はジョニーさんが、近くの村で話したようなので騒ぎになってまして、すでにオルボアに知られています」
「遺跡の件は口止め出来んか?」
「話してみます。ただ対策は他にも必要でしょう」
ジョニーさん。いろいろ危ないフラグ踏んでない?
それに空の勇者って、シューティングスター号のことだよね。
早くもバレてるし。
オルボアか。
ジョニーさんとオレ達は意外なとこで繋がってた。
「オルボアって、そんなに大きな国なんですか?」
「元々は小さな国でな。百年ほど前に帝国から独立した公国なのじゃが。今の公王になってから、いろいろ良からぬ噂があるの」
「すでにオルボア公国での情報収集は開始しています。ただオルボア公国の王城は、魔法のバリアのような物で守られていて偵察機が潜入出来てません」
このまま放置してもジョニーさんが、何とかしてくれる気がしないでもない。
ただ第二王子の件で情報収集だけは始めてる。
あの魔族化と言ってた第二王子の変化についてはアンドロイド達が調べてるけど、センサーの類いの情報しかないので未だに正体は掴めてない。
サンプルに細胞の一つでも残せば良かったんだろうが、どう考えても危険だったんだよね。
ただ魔物と同じマイナス因子の強力なエネルギーを発していたことだけは確かで、エネルギーの数値はワイバーンの比ではないほど危険だったのは判明してる。
出来ればあの魔族化させた人間を捕まえたいところなんだけど、こちらは移動魔法で逃げたらしく追跡出来なかった。
もう少し魔法の解析に力を入れるべきかもしれないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます