第74話・森の中の混浴・その二

「へ~、本当に森の中ね!」


 買い物を終えるとクリスティーナ様が待ちきれないようなので露天風呂に向かう。


 町の門番の兵士からは女ばかり連れて一日に二回も温泉のある森に向かうオレに、本当にスケベ野郎だなと言わんばかりの視線を向けられた。


 断固抗議したい!


 だけど抗議したら今度はヘタレ野郎だなと見られる気がしないでもない。


 世の中って難しいな。


「うわ~。凄いわ!」


 クリスティーナ様は到着するとさっさと服を脱いで温泉に駆けていき、メアリーさんが慌てて服を拾い畳んでる。


 日本だと恥を知らぬ年でも無かろうに恥らう様子は全くない。


 ただ恥らう様子があまりないのはメアリーさんも同じだ。


「川と違って温かいからいいわね!」


「あら川なんかで泳ぐの?」


「ええ。領地だと夏場はみんなしてるわ」


「水着は?」


「何それ?」


 まるでプールに駆けていく子供のように一糸纏わぬまま温泉に入るクリスティーナ様であるが、川と比べたのにはオレ達は驚く。


 服を脱ぎながらジュリアやケティが不思議そうに話を聞いたところによると、伯爵様の領地は田舎なようで夏には領民も貴族も子供はみんな裸で水遊びするみたい。


「平民はよほど寒くない限りは外で行水をしますから、人に見られるのはあまり気にしませんよ。旅に出るとトイレも見られますし。あの馬車のような便利な物は余程の貴族様でもない限りは見たことがありません」


 不思議そうなオレ達にメアリーさんが補足するところによると、地球のオレの生きた時代とは価値観がだいぶ違うらしい。


 シャワーもなくお湯は薪や炭などの燃料を大量に消費するので、寒い冬場に身体を拭く時くらいしか使わず後は行水のようだ。


 水源は川か井戸で井戸に関しては村なんかだと一基か二基しかなく、町でも地区に数基なので基本的に水は共有する物みたいで行水は川や井戸の周りで済ませるんだって。


「恥ずかしくないのですか?」


「うーん。全く見られるのに抵抗がない訳ではありませんが、現実問題として水を汲み運ぶ手間を考えると家まで運ぶのは。若い女性なんかは朝早くや日が暮れてから行水することはありますよ」


 うちのアンドロイドで一番恥じらいがあるエルは信じられないと言いたげでメアリーさんの話を聞いてるけど、エルの恥じらいの原因の一つは乳神様の二つ名で騒がれ過ぎたことなんだよね。


「ねえ? どうしたらそんなに大きくなるの?」


「それは……私にも……」


 ただここでブラジャーから解放された乳神様にクリスティーナ様が食いつく。


 プルンと揺れる乳神様はどちらかと着痩せするのはオレも今日初めて知ったよ。


 だからケティ。乳神様の話になる度にその責めるような目をするのは止めて。


 エルもエルで聞かれた質問に困って何故と聞きたげにこっちを見ないで欲しい。


 本来は仮想空間で服の上からそれぞれ違ったサイズの膨らみをそれとなく眺めるだけのはずだったんだから。


 しかしここでオレは気付いてしまった。


 クリスティーナ様とメアリーさんを加えると、特大・大・中・小・無と綺麗に乳神様のサイズがバラけてることに。


 エル・ジュリア・メアリーさん・ケティ・クリスティーナ様の順で。


 神様ありがとうと祈るとバチが当たるかね?


 異世界バンザイと祈るくらいにしておこうか。



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