第61話・決着

 戦争における勝敗の分かれ目は古今東西様々あると言われてるけどその一つは武器の優劣だろう。


 特に銃器が世に生まれて以降は可能な限り銃器での戦いとなる。


 それはギャラクシー・オブ・プラネットでもまた変わらないが白兵戦が無くなったかと言われるとそれは違う。


 しかし白兵戦においても武器の優劣は大きな勝敗の分かれ目でありジュリアのレーザー仕様のバスターソードもその一つと言える。


 SF仕込みの戦闘術も無論ピカ一だがその切れ味を生かすにはあまり小手先の技術など必要なく、ただ迫り来る敵を切り捨てるだけが一番効率が良かった。


 雑魚など止めを刺す必要もなく傷を負い村に向かわなくなれば十分なのだ。


「ジュリア殿。貴殿は一体……」


 すでに周りの弱い魔物はジュリアの姿を見ただけで逃げ出し始めていて、オレ達と伯爵様と騎士の五人は村の方へ来る魔物を中心に倒していた。


 オークの分厚い身体も骨も関係ないとばかりに一振りで切り捨てていくジュリアの姿を騎士の人は戦いながらも身震いするように見ている。


 ケティは同じくレーザー仕様の弓で特殊合金の矢にレーザーを展開して放っているので何匹もの魔物を貫通して倒しているし、オレはレーザーガンで小物を中心に撃ちエルは両手にレーザーを展開したナイフを持ちオレとケティを守るように抜けて来た魔物を倒していた。


 近くでは伯爵様と騎士も連携しながら大物や小物問わず倒していく。



「死にな! デカブツ!」


 ジュリアが魔物の中心部にたどり着いたのはそんな時だった。


 体の大きさが倍以上はあろう大型のオーガ二体を前にジュリアのバスターソードのレーザーの出力が上がる。


 オーガはまさか目の前の人間に自分が負けると思ってないのだろう。


 叩き潰すように拳を振り上げたがその瞬間二体纏めて腰のところを横一線に一振りで切り裂いてしまい、怒りにも見えるオーガは何が起きたのか理解せぬまま上半身が後ろに落ちていき下半身だけがそのまま立っていた。


 その瞬間空気が変わるのをオレは感じた。


 魔物達の群れから感じていた殺意や狂喜に欲望が消え失せてしまい、魔物達を支配したのは死の恐怖なのだろう。


 一斉に四方に散りじりとなり逃げ出していく。


「チッ! 逃げるんじゃねえ!」


 ジュリアも四方に逃げる魔物を追いかけて倒していくが最早魔物には戦う闘志などなく大半は逃がしてしまうことになる。





「もしかして逃げた連中を追って狩らないと街道の旅人が危ないか?」


「それは討伐隊の連中がするじゃろう。とはいえ少しでも狩っておこうか」


 勝敗はあっという間に決した。


 所詮は本能と多少の知恵がある程度の相手であり頭を潰すと終わりなのだ。


 しかしまあ村の近くであてもなく逃げた魔物が元の森に帰るはずもなく、周辺の危険性はすぐにはなくならないという結末だった。


 大物を中心になるべく倒すべくオレ達は奮闘するが向かってくる敵ならばともかく、逃げる敵を僅かな人数で追えるはずもなく半数近くは逃がしてしまった。


 途中から兵士や村の男衆も加わり倒した魔物の回収と追撃をするが村の防衛も考えれば人手が足りるはずもなく、苦労しているところにようやく討伐隊が到着した。



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