第55話・村の防衛戦その二
「あれロボとブランカは?」
「クリスティーナ様が危ないからと、一緒に連れて村長さんの家に避難しました。メアリーさんには粉ミルクを預けておいたので、問題はないかと」
伯爵様とジュリアと兵士達は村の防衛を手伝うと宿屋を出たのでオレはエルと対策を立てる為に馬車に戻るが、そこにはロボとブランカの姿がない。
本当は馬車の中が一番安全なんだけどそれを教える訳にもいかないし仕方ないか。
ああメアリーさんとは侍女さんの名前だ。
二匹の食事に関しては午後にも一度ミルクを飲ませたので粉ミルクを見られていたが、どうもこの世界には粉ミルクがあるらしくメアリーさんも使ったことがあるとのこと。
何でも昔の大商人が作った商品らしく王都など都市部では高級品だがあるらしい。
「それでオーガの数は?」
「調査の結果三体です。この規模の一般的な村だと普通に壊滅する数ですね。しかも伯爵様がおっしゃったように森の敵性生命体は他所から来たオーガのせいで殺気だってますし一部は森から逃げ出して四方に散っています」
「ジュリアやエルでも苦戦するのか?」
「推定ですが流石にそこまでの強さではないようです。ただ森の敵性生命体を一部従えるだけの知恵もあるようで数が増えれば少々面倒かもしれませんが」
「軌道上に待機させてる支援艦隊から攻撃させるか?」
「それは最終手段とするべきだと思います。先日のレーザーで射殺したゴブリンの件もありますのであまり迂闊なことをすれば不安が広がるだけかと」
「防衛戦なんて想定してなかったな」
「私達が居れば奇襲を受けることはないので後はなんとかなるでしょう」
そしてオーガについてだが状況は良くはないが最悪というほどでもないようで少しホッとした。
一般的な村だと壊滅する数のようだが、まともに戦えばジュリアやエルで倒せると言うしさほど心配することはないのかもしれない。
ただオレ達は基本的に自分達の身を守る程度の対策と装備しか持ってなく村の防衛戦なんて全く考えてなかった。
特に問題なのは数の暴力に対抗するような対策を軌道上に待機させてる支援艦隊に頼りきっていたのは失敗だったかもしれない。
尤も万能型のエルと戦闘型のジュリアの二人は自身にも五感や六感を進化させたようなセンサーがあるし、アンドロイド全般としては偵察機や支援艦隊からのリアルタイムの情報を瞬時に送受信する通信も可能だった。
まあ通信は有機タイプなためどちらかと言えばテレパシーに近い能力であり、同じアンドロイド同士の会話や情報の共有などが可能になる。
ちなみにプレイヤーであるオレも生体強化により超能力がある設定なので、あまり距離を離れなければテレパシーによる単純な会話だけならば可能であるがあれこれと情報を受けとるほどは出来ないし情報の共有なんて不可能だ。
基本的にプレイヤーよりアンドロイドが優れてるのがギャラクシー・オブ・プラネットであったのだが、実はVRを用いた人の脳へ与える負担が掛かりすぎるのでギャラクシー・オブ・プラネット以前にVRシステムとしてそこまで出来なかったとも言われていたけど。
本来ならば戦闘型のジュリア一体でも装備の制限さえしなければ今回程度の防衛戦は楽勝なんだろうけどね。
「私は伯爵様の方を見てきます」
「ああ、頼むよ」
万能型のエルは本来は作戦の立案指揮が得意な副官なんだよね。
伯爵様もいるし今回は口出しするほどじゃないと思うけど。
どちらにしろ長い夜になりそうだな。
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