VS風紀委員長

第111話 校内選抜大会、第二回戦

「来たか、青虎」


 午前、グラウンドで、観衆が見守る中、俺とツバメ先輩が顔を合わせた。


 風紀委員長との対決ということで、学園の派閥に属する上級生が威勢よく声を上げる。


「新入生! 今日こそ終わりだ! おまえの相手はレベル8の能力者だぞ!」


「……うるさい、自分おまえたちの愚かさに、他人をつきあわせるな」


 わめく上級生を冷たい一言で切って捨てて、ツバメ先輩が嫌そうに口を曲げた。


 学園の秩序をたもつ風紀委員長が、秩序を乱す側の人間と同列に扱われるのは心外という話だろう。


 派閥の上級生たちも、風紀を乱す自らの立場上、敵対する風紀委員長に良い印象を持っていないのか、それ以上の野次がとんでくることはなかった。


 助かるさ。余計な雑音が無いのは、真剣勝負の場でおおいに助かる。


「ツバメ先輩、今日はよろしくおねがいします」


「戦いの前に、そういう余計な礼節はいらない。俺は勝ちに来ているからな」


「ええ、勝ちに来ているのは、俺も同じです」


 気の合う話だ。俺たちはお互いに見合って、戦いの舞台に立つ。


双方そうほう、合意と見てよろしいですね?」


 審判役の教師が確認の問いを投げた。


 当たり前だな。俺たちは魔法を口ずさみ、自らの武器を呼んだ。

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