第107話 青虎、めずらしくキレる
「ほう? 言いたいこととは、なんだ?」
「この学校の風紀ですが、史上かつてなく最悪だと思います」
俺が言うと、風紀委員会の空気が凍った。
自分たちの仕事が無能だと言われているのだから、当たり前だな。
ツバメ先輩も少しだけ、表情をけわしくする。
「俺が上級生を斬り殺したのも、もとはと言えば、訳の分からないいちゃもんをつけてきた学園の派閥が原因ですし、そもそもこの学校おかしいですよね? 文明の時代に、化石じみた不良生徒の集団がはびこって、しかもそれをいさめる者が誰もいない? 教職員はおろか、生徒間の自浄作用もありはしない。自分ながらよくもまあこんなヒドイ高校に進学したものだと思いますが、生徒の自治という観点では生徒会や風紀委員会の怠慢では?」
「あ、青虎おまえ、俺が空気を読んで言わずにおいたことを……」レイジが驚いていた。
「青虎くんが、長いセリフをしゃべっています! 記録的です!」陽花も驚いていた。
「いかがでしょうか、ツバメ先輩?」
ツバメ先輩は「うーむ」と、むずかしい表情で考え込んでいた。
アスカ先輩が「よっしゃ、もっと言ってやれ、だよ!」とよろこんでいる。
俺も言われっぱなしではつまらないからな。
そもそも入学してから上級生からロクなあつかいをうけていないし、ここらでビシッと言い返しておく必要があるだろう。
相手が学園の風紀をあずかる風紀委員長ならば、ご意見箱として、これ以上はない。
ややキレ気味に言ってしまったから、どんな反応が返るかと心配だったが……
「うん、いや、まったく、俺もその通りだと思う。よく言ってくれたよ、ありがとう」
ツバメ先輩は苦く笑って、白旗をあげてくれた。大人だな。
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