第106話 宣戦布告

「青虎? ああ、そうか、そこの彼が、ヒサヒトを倒した新入生……」


 風紀委員の注目が、一斉に俺を向いた。


 少し恥ずかしいような気もするが、結果と名誉には注目がつきものだ。

 こればかりは茶化さず誇るのが、正道だろう。


「ええ、俺が青虎です。二回戦は、相手をよろしくおねがいします」


「アスカの後輩とは思えないな。こちらこそよろしく、いい勝負をしよう」


 『どういう意味よ!』とアスカ先輩が怒っていた。幼馴染は仲がいいな。

 風紀委員長というから、どんな堅物が出てくるのかと思えば、少しクールな以外は人当たりのよい先輩だった。

 ツバメ先輩がアスカ先輩に冷たいのは、アスカ先輩の日頃の行いだろうな……


「しかし、それはそれとして、風紀委員の立場で、俺はおまえに言う事がある」


「はい? なんでしょうか、ツバメ先輩?」


「あまりいい気になるなよ。上級生を斬り殺したり、他人の首を斬り飛ばしたり、血の雨が降る学園生活というのは、誰しも歓迎しない」


 何事にも限度があるという話かな。

 学園の秩序を守る風紀委員長の立場としては、好き放題にやっている新入生の存在は、あまり歓迎できないのだろう。

 わかるよ。わかるさ。わかりすぎる話だ。

 俺がツバメ先輩の立場でも、同じことを言っただろう。

 しかし、同じく、それはそれとして、だ。


「では俺も、ツバメ先輩をふくむ、風紀委員に言いたいことがあります」


 宣戦布告だと思って、お聞きいただこうか。

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